野菜づくりについて調べていると、「残渣(ざんさ)」という言葉を目にしたことはありませんか?
残渣は、医療や料理をする現場でも使われることのある言葉ですが、今回は、家庭菜園で使われる残渣について解説します。
残渣(ざんさ)とは
家庭菜園で野菜を育てると、収穫後にどうしても出てしまう茎や葉、根などの不要な部分があります。
これらのものをまとめて残渣(ざんさ)と呼びます。
つまり、野菜づくりをして、実際に食べる部分以外は「残渣」になります。
残渣の例
- トマトの茎や葉
- キュウリのツル
- ナスのヘタ
- レタスの外葉
このように、野菜づくりにおいて「ゴミ」になってしまう部分なので、「野菜くず」と表現されることもあります。
残渣をそのままにしておくことで生じる悪影響
残渣は野菜の葉や茎であり、食べることのできない部分になります。そうした残渣は、そのまま畑に残しておくと、柔らかくなり、腐ったり、カビが生えたりすることで、野菜の栽培に悪影響を及ぼす可能性があります。
そうして残渣についてしまった菌やカビは、土の中で数年にわたり生き延びることもあり、次の年やその先の野菜の栽培までにも影響を及ぼす可能性があります。
残渣をそのまま放置しておくことで生じる具体的な例を挙げていきます。
病害虫が発生する
野菜も人間と同じように、病気になることがあります。その病気をもった野菜の枝や葉をそのまま放置しておくと、土や育てている別の野菜に病気がうつってしまうことがあります。野菜が病気にかかると、収穫量が減ったり、最悪枯れてしまうこともあります。また、残渣を放置しておくことで、ジメジメとしたり、カビが生えるなど、病害虫の温床になることもあります。
雑草が多くなる
残渣に雑草の種が付いていた場合、その雑草の種が発芽し、畑が草だらけになることがあります。残渣の放置によって病害虫が生じた場合、野菜は枯れてしまっても、雑草は強いため生き残ることもあります。雑草予防のためにも、残渣は処理をしておくようにしましょう。
畑の見た目が悪くなる
畑に収穫を終えた野菜の葉や枝が散乱していると、見た目が悪くなります。きれいな畑は、雑草や枯れた枝葉がなく、整然としています。あえて雑草を残す農法もありますが、そうした農法をしない畑を借りているのであれば、残渣を処理して、畑をきれいに保つことが大切です。
周りの人とのトラブルになる場合がある
残渣を放置することで、病害虫が発生したり、雑草が増えてしまう可能性があります。市民農園やシェア畑など、畑を複数人で共有する施設では、周囲の人に残渣を放置していることを注意されたり、病害虫が発生し、周囲の人に迷惑をかけてしまうこともあります。こうしたことをきっかけとし、嫌がらせをされてしまうこともあるため、残渣の処理はしっかりと行いましょう。
残渣処理(ざんさしょり)とは
残渣処理(ざんさしょり)とは
残渣(野菜くず)を畑から取り除いてごみとして処分したり焼却すること、または堆肥などとして再利用すること。
残渣処理の具体的な4つの方法
残渣を処理する方法は4つあります。
- ゴミとして処分する
- 堆肥として活用する
- マルチングとして活用する
- 畑にすき込む
①残渣をゴミとして処分する
野菜くずを「燃えるゴミ」として捨てます。
家庭でも出る一般的な燃えるゴミと同様に、規定の大きさまで切るなどして、燃えるゴミ専用のゴミ袋に入れてゴミ収集所へ出します。
②残渣を堆肥(たいひ)として活用する
堆肥(たいひ)とは:家畜のふんや落ち葉などの有機物を微生物が分解・発酵したもので、土の性質をよくするために利用されるもののことをいいます。
本来ゴミになってしまう残渣にひと手間加えることで、野菜づくりに必要な堆肥を手作りできることができます。
【残渣で堆肥を手作りする方法】
・畑の余ってスペースに穴を掘って埋めておくだけ!
・数か月後には「堆肥」ができます。
ただし、病害虫の被害にあっている残渣は使用しないなど、注意点もあるので、詳しくは☟こちらの記事をご覧ください。
【畑に残渣を埋めるペースがない時の対処法】
一部の市民農園やシェア畑には、農園内に「残渣置き場」や「野菜くず置き場」といった、野菜くずを捨てる場所が設置されていることがあります。残渣置き場に野菜くずを置いておけば、農園のスタッフが、堆肥として利用してくれます。しかし、できた堆肥をもらえる場合はほぼありません。
ゴミになるものを堆肥として活用できれば、環境にも野菜にも、お財布にも優しいですね!
③残渣をマルチングとして活用する
マルチングとは、野菜を育てている土をビニールや有機物で覆うことをいいます。マルチングには、保湿や保温、土の保護などの役割があります。
残渣として出た野菜の枝や葉を細かく切って、野菜の株元に置いておくことで、マルチングとして代用できます。
注意点としては、病気になった野菜の枝や葉をマルチングをして利用すると、育てている野菜にも病気がうつってしまうため、避けましょう。また、アブラムシやアオムシなどの害虫がたかっている残渣を利用することも、育てている野菜に害虫の被害がでる可能性が高くなるため、避けましょう。
病害虫の被害があった残渣は燃えるゴミとして処分することをおすすめします。
④残渣を畑にすき込む
残渣を畑の土に軽く混ぜることをすき込むと表現します。堆肥を作る時のように、深い穴を掘って埋めるというよりは、全体的に耕しながら残渣を混ぜ込んでいくイメージです。
畑にすき込む残渣は、病害虫の被害のないものを使いましょう。
「残渣置き場」とは
残渣置き場(ざんさおきば)とは
残渣(野菜くず)を集めるためのスペースこと
市民農園や貸し畑では、「残渣置き場」という野菜くずを置く専用のスペースが設置されていることがあります。そのようなスペースがある時には活用しましょう。