夏から秋への季節の変わり目は、春夏野菜が終わり、秋冬野菜への入れ替えの時期になります。夏野菜は収穫のピークを過ぎて少しずつ収穫量が減ってくるので、切り上げる時期を決めて片づけを進めます。
気温が低い期間に栽培する秋冬野菜は、春夏に比べて虫が発生しにくく、虫が苦手な人にも野菜づくりしやすい季節と言えます。また、真夏の畑仕事は小まめな水分補給や休憩などの熱中症対策が必要になり、体力の消耗も大きいですが、秋冬は涼しくなり、外でも長時間快適に過ごせます。
秋冬野菜の中には、寒さの中で育ちながら甘みが増して美味しくなるものが多いので、これも楽しみの一つといえるでしょう。この記事では、秋冬野菜の特徴や栽培のコツ、初心者さんでも育てやすいおすすめの秋冬野菜10選について解説します。
秋冬野菜の特徴
秋冬野菜は適切な時期に育てる
秋冬野菜は、種まきや苗の植え付けは暑い時期ですが、収穫時期には気温が低くなっているのが特徴です。種まきや植え付けが1週間~10日遅れると、収穫は1か月以上遅くなると言われています。生育に大きな影響を及ぼすため、適切な時期に作付けを行うことがポイントです。
秋冬野菜は地中に埋まってじっくり生長するものが多い
気温が高い春夏栽培と違い、秋冬野菜の栽培時期の秋から冬にかけては、日ごとに気温が下がります。そのため、春夏野菜である、ナスやキュウリ、ピーマンのように地上に出てぶら下がって実る果菜が多いのに対して、秋冬野菜は土の中で育てる根菜や地際で育つ葉もの野菜が中心です。また、次々に実る春夏野菜に比べて、秋冬は白菜や大根のようにじっくり時間をかけて育てて、丸ごと収穫という野菜が多いのが特徴です。
秋冬野菜を育てる前にすること
夏野菜の片付け
夏の収穫のピークを終えた野菜は、いつまで残しておきたい気持ちはよく分かりますが、徐々に勢いがなくなり、収穫量が減ってくるタイミングが必ず来ます。これ以上の収穫が難しいと判断した野菜から、株を抜くなどして片付けるようにしましょう。
スペースに余裕のある場合は、夏野菜を土から根を抜いておき、1週間ほど放置して乾燥させることで、葉や枝のかさが減り、処分しやすくなります。引き抜いた株を処分したら、植えていた場所を掘り返して、太陽の光に当てましょう。古い大きい根があったら取り除いておきましょう。
秋冬野菜のための土づくり
夏野菜を片付けたら、秋冬野菜が健康に育つための土づくりをしましょう。土を耕したり、堆肥や肥料などを必要に応じて加えておきます。
秋冬野菜は、根菜類も多く、秋冬野菜よりも深めにしっかり耕すことがポイントです。耕す深さの目安は約30㎝です。また、大きい石や太い茎などはそのままにせずに取り除きましょう。こうすることで、ニンジンや大根などが、二股に割れてしまうのを防ぐことができます。
秋冬野菜の栽培のポイント
寒い季節の野菜づくりでは、暖かい時期とは違った部分に注意する必要があります。秋冬野菜の栽培のポイントについて解説します。
防寒対策が必要になる
寒くなる季節は植物にとって、過酷な環境になります。霜が降りたり、冷たい北風などの影響でせっかく育てた野菜が枯れてしまったり、収穫量が減ってしまうことも十分に考えられます。野菜を無事に収穫できるよう、寒さ対策が必要です。
寒さ対策で一番手軽でおすすめなのが、マルチングです。土をビニールマルチで覆ったり、藁を敷いたりすることで保温することができます。また、ビニールをトンネルのように畝にかけることでも保温ができます。
虫は少ないが7〜9月は防虫ネットなどでの害虫対策が必要になる場合もある
秋冬野菜は、白菜やキャベツ、大根、コマツナなどのアブラナ科が多く、害虫はほぼ共通します。主な害虫は、アオムシ、ヨトウムシ、アブラムシなどです。これらの害虫の被害を減らすためには、寒冷紗の使用や、防虫ネットを隙間がないようにトンネル状にかける方法があります。少しでも隙間があったり、もともと卵が産み付けてある株をネットで覆ってしまうと、防虫ネットの中が害虫だらけになってしまうことがあるため、定期的に虫食いがないか注意深く観察しましょう。防虫ネットを外すタイミングは、野菜がネットの天井に届く高さに生長した時か収穫の1週間前を目安にしましょう。
防虫ネットを使用しない場合は、害虫を見つけたら、すぐに捕殺するようにしましょう。
9~10月は台風が発生する可能性がある
秋冬野菜を育て始める時期は、長雨や台風などの大雨被害が発生しやすくなります。植え付けをしたばかりの苗はこうした被害に弱く、種まきをした場合は、種が流れてしまうこともあります。雨の被害を最小限にするために、ビニールでトンネルがけにしたり、株元への土寄せをおこなったり、マルチングを活用する方法があります。
また、水はけの悪い畑では、あらかじめクワで畑に溝を掘っておき、排水溝を作って水を誘導しましょう。雨が降り、ぬかるんだ畑に入ると、土を踏むことで土が硬く締まり、野菜が元気に育ちにくくなります。雨上がりで畑仕事をするときは、ある程度乾いてからにしましょう。
気温が低い季節は水やりの方法に注意する
特に気温が下がる冬場の水やりは、なるべく気温の高い日中を選ぶことが重要です。気温が下がる夕方や夜に水を与えると、土の中で水が凍ってしまい、野菜の根を傷めてしまうことになります。また、夏場とは違って気温が低く、日照時間も短いため、土が乾きにくくなります。夏場と同じ頻度で水やりをしていると、水分過多になってしまい、根腐れを起こす原因にもなるため避けましょう。畑の土は表面が乾いていても、手で軽く掘って土が湿っていれば、水やりは不要です。
適切な時期に収穫をする
ダイコンやニンジンなどの野菜は、霜の影響で地面が凍ったり、温度差によって割れてしまうことがあります。こうした根菜類は、気温が下がりすぎる前に収穫することが大切です。天気予報をチェックし、気温の変化がないかを気にしながら、収穫のタイミングを見極めることがポイントです。早めの収穫が難しい場合は、トンネルがけやマルチングを行い、寒さ対策を行いましょう。
おすすめの秋冬野菜10選
今回は、おすすめの秋冬野菜を10種類に絞って紹介します!野菜ごとの特徴や土づくりのコツ、手入れも含めて解説します。
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- カブ(アブラナ科)の育て方
- キャベツ(アブラナ科)の育て方
- コマツナ(アブラナ科)の育て方
- レタス(キク科)の育て方
- ジャガイモ(ナス科)の育て方
- ダイコン(アブラナ科)の育て方
- ニンジン(セリ科)の育て方
- ハクサイ(アブラナ科)の育て方
- ブロッコリー(アブラナ科)の育て方
- ホウレンソウ(アサガ科)の育て方
カブ(アブラナ科)の育て方
カブの基本情報
適した土質:壌土
適した有機物:草質・発酵系
種まき:春3月中旬~4月・秋9月~10月上旬
収穫:春5月中旬~6月・秋11月~12月
カブの土づくり
【耕し方】
・栽培期間が短いので土づくりが大切。
・畝を立てる場所に元肥を施してから18㎝の深さまで細かく耕し畝を立てる。
畝幅:90㎝
畝の高さ:10㎝
【元肥】
・耕す前に、完熟草質堆肥(または腐葉土)と発酵油かすを畝全体に施す。
・カブが発芽してすぐに肥料分を吸収できるよう、種まきの3週間前までに施しておく。
堆肥:完熟草質堆肥 1.5㎏/1㎡
肥料:発酵油かす 200g/1㎡
【土質ごとの土づくりのポイント】
・砂質の土:保水力が低いので、乾燥が強いと土寄せだけでは実が割れてしまう。土の様子をみて水やりをする。
・粘土質の土:中耕の時にもみ殻をすき込んで土寄せをすると、土の中に空気の層ができて、土の加湿を防ぐことができる。
カブのタネまき
・タネまきは1.5㎝間隔に筋まき
・条間は10㎝
・種を1.5㎝間隔に筋まきする。
・間引きをしながら育てる。
カブの間引き
・間引きは3回に分けて行う。
・1回目:本葉1枚のときに株間3㎝にする。
・2回目:本葉3枚のときに株間5㎝にする。
・3回目:カブが2㎝程度に肥大したときに株間を10㎝にする。
カブの追肥
・2回目と3回目の間引きの後に追肥をする。
・条間に油かすをまいて、畝の表面を軽く耕す。
追肥:発酵油かす 30g/1㎡(1回ごと)
カブの収穫
・カブの玉になる部分は胚軸が肥大したもの。
・生長は早く、1か月半くらいで収穫サイズになる。
・収穫時期は種をまいたメーカに記載されている時期を参考にする。
・大きく育ったものから収穫していく。
・残ったカブは、株間が広がったことで、より太ってくる。
・取り遅れると実が割れてしまう。
キャベツ(アブラナ科)の育て方
キャベツの基本情報
・キャベツの原産地は地中海沿岸地域。
・生育適温は12~23℃前後で、冷涼な気候を好む。
・本州では春と秋に旺盛に生育する。
・キャベツ栽培で最も難しいのが、春は低温、夏は高温の中で管理する苗づくり。あとは害虫対策をしっかり行えば育ってくれる。
・初心者はホームセンターに売っている苗を購入して育てるのがおすすめ。
適した土質:壌土
適した有機物:牛ふん・油かす
苗づくり:春2月中旬~3月・秋7月中旬~8月
収穫:春6月・秋11月中旬~2月
キャベツの土づくり
【耕し方】
・元肥を畝全体に施したら18㎝程度の深さまでやや粗く耕して畝を立てる。
畝幅:45㎝
畝の高さ:5㎝
【元肥】
・初期生育が大切なため、必ず元肥を施す。
堆肥:完熟牛ふん堆肥 2 ㎏/1㎡
肥料:油かす 200g/1㎡
【土質ごとの土づくりのポイント】
・砂質の土:肥料分が流れやすいため、畝間に完熟堆肥をまいてワラを敷くと、保水力と保肥力が高まる。
・粘土質の土:畝間にエンバクをまくか、雑草を生やして、水分を適度にためないようにする。
キャベツの植え付け
株間は30㎝間隔
・本葉5~6枚の苗を定植する。
・株間を狭くして密植すると、互いに助け合って生長が促進される。
・16枚の外葉が元気であればほとんどの確率で結球する。
キャベツの追肥
・合計3回の追肥を行う。
- 植え付けの2週間後
- 1回目の3週間後
- 2回目の3週間後
追肥:油かす 10g/1株(1回ごと)
キャベツの収穫
・結球し始めて、結球部分を手で押さえて硬く締まっていたら収穫適期。
・包丁などで地際を切り取る。
・収穫が遅れると、根腐れや、結球したキャベツが裂ける裂球を起こすことがある。
コマツナ(アブラナ科)の育て方
コマツナの基本情報
・コマツナの原産地は中国。
・カブから改良されて作られた野菜。
・生育適温は12~23℃と冷涼な気候を好む。
・栽培期間が短い。
・比較的暑さに強いため、1年中つくることができる。
・低温でじっくり育てると茎が太くて肉厚の良質なコマツナに育つ。
適した土質:壌土
適した有機物:牛ふん・油かす・カキ殻・発酵系
種まき:春3~4月・秋9~10月
収穫:春5~6月・秋11~翌年2月中旬
コマツナの土づくり
【耕し方】
・元肥をまいてから、深さ18mをやや粗く耕す。
・表層5㎝は発芽を揃えるため、細かく耕してから畝立てをする。
畝幅:90㎝
畝の高さ:10㎝
【元肥】
・耕す前に畝全体に施す。
堆肥:完熟牛ふん堆肥 2㎏/1㎡
肥料:油かす 200g/1㎡
【土質ごとの土づくりのポイント】
・砂質の土:乾燥が強いと根の生長が止まり、カルシウムを吸えなくなるため、乾燥する場合は水やりをする。
・粘土質の土:10㎝程度の高畝にして、畝の周りに溝を掘って水はけをよくする。もみ殻をすき込んで、通気性をよくする。
コマツナのタネまき
タネまきは、1.5㎝間隔に筋まき
・畝と垂直方向に浅いまき溝をつけ、種を1.5㎝間隔に筋まきにしていく。
・まき溝は支柱などを使ってつくるとよい。
・筋まきしたら、土をかぶせて種と土が密着するよう鎮圧する。
コマツナの間引き
・本葉が1~2枚のころに間引いて株間3~4㎝にする。
・草丈が7~8㎝のころに間引いて株間5~6㎝にする。
※間引きと追肥はセットで行う。
コマツナの追肥
・間引きと同じタイミングに行う。
・間引き後に畝の肩に発酵油かすをパラパラまいて土となじませる。
追肥:発酵油かす 30g/1㎡(1回ごと)
コマツナの収穫
・草丈が15~20㎝になったものから、間引く間隔で収穫する。
・隙間が空くと小さな株が大きく育つ。
・春は生長が早く、1か月程度で収穫できる。
・冬は寒さにあたると甘くなる。
レタス(キク科)の育て方
レタスの基本情報
・レタスの原産地は中近東の内陸地域。
・冷涼な気候を好み、高温と雨が苦手。
・特に夏の雨が苦手で、雨避けが必要になる。
【リーフレタス】
・レタスには結球・半結球・結球しないものの3タイプに分けられる。
・結球しないサニーレタスは、葉先が縮れているのが特徴。
・半結球タイプではシーザーサラダに使われるロメインレタスがある。
・半結球と結球しないタイプは、結球するレタスの半分の量の肥料で育つ。
・特にリーフレタスは育てやすいので、初心者さんにオススメ!
適した土質:壌土
適した有機物:牛ふん・油かす
苗づくり:春3月・夏8月・秋10月
植え付け:春4月・夏9月・秋11月
収穫:春5月中旬~6月・夏10月中旬~11月・秋1月中旬~2月
レタスの土づくり
【耕し方】
・畝全体に元肥をまき、18㎝の深さまでよく耕して畝を立てる。
・加湿を嫌うので、水はけのよい畝をつくる
畝幅:60㎝
畝の高さ:10㎝
【元肥】
・ゆっくり肥料を効かせたいため、完熟牛ふん堆肥と油かすを畝全体に施す。
・チッソ分が多い油かすを施すのは、葉の生育がよくなり、葉を柔らかくするため。
堆肥:完熟牛ふん堆肥 2㎏/1㎡
肥料:油かす 200g/1㎡
【土質ごとの土づくりのポイント】
・砂質の土:乾きすぎないよう水やりをする。有機物の分解が早いので、分解しにくい完熟バーク堆肥をすき込むとよい。
・粘土質の土:水はけをよくするため、15㎝程度の高畝にする。畑の周りに溝を掘る。(明渠(めいきょ)をつくる)
レタスの植え付け
30㎝間隔に植え付ける
・本葉4~5枚の苗を株間30㎝で植え付ける。
・苗づくりをする場合はポットに種をまき、春は暖かいところで、夏は涼しいところで育苗する。
レタスの追肥
・1回目は植え付けの3週間後。
・2回目は中央の葉が巻き始めたころ。
・それぞれ株間に油かすを追肥する。
・この時に葉の中に雨が溜まっていないか、ナメクジなどは発生していないか確認する。
追肥:油かす 30g/1㎡(1回分)
レタスの収穫
・結球部を上から押してかたく締まっていれば収穫適期。
・茎を地際で切って収穫する。
・水分と養分が足りないと苦みの強いレタスになる。
ジャガイモ(ナス科)の育て方
ジャガイモの基本情報
・南米のアンデスが原産地で冷涼な気候を好む。
・関東よりから沖縄まで春作と秋作の2回栽培ができます。
適した土質:壌土・砂質
適した有機物:油かす
植え付け:3月~4月上旬・8月中旬~9月中旬
収穫:6月~7月中旬・11月中旬~12月中旬
ジャガイモの土づくり
【耕し方】
・地下茎の肥大した部分(塊茎)を食べるので、植え溝の周囲を18㎝程度の深さまで細かく耕す。
・土寄せをしながら育てるので、畝は立てず植え付けの時に幅10㎝の植え溝をつくる。
・
畝:立てない
植え溝:幅10㎝
【元肥】
・不要
【土質ごとの土づくりのポイント】
・砂質の土:ジャガイモは低栄養の土を好むため、砂質では高品質のイモがとれる。肥料は不要。
・粘土質の土:土が硬く、土寄せが困難なため、15㎝程度の高畝を作り、7~8㎝の深さに種イモを植え付ける。畝にマルチングをするといい。
【そうか病】
・収穫したジャガイモの肌がガサガサしたカサブタのようになるものを「そうか病」という。
・そうか病の原因となる細菌は、pHが高くなるほど活発になる傾向があるため、石灰の使用は控えた方がいい。
ジャガイモの植え付け
ジャガイモはタネや苗から育てるのではなく、「種イモ」といって、イモを植えて芽を出して育てる。
・株間:30㎝間隔に植える
・畝間:(通路幅) 70㎝
・植え溝:深さ10㎝
・種イモはヘソ(イモのへこんだ部分)を切り落としたら、ヘソから縦半分に切り、切り口を乾燥させる。
・乾燥後、深さ10㎝の植え溝を掘り、切り口を下にして30㎝間隔に並べて土をかぶせる。
・すぐに植え付ける場合は、種イモが腐るのを防ぐため、切り口に草木灰をつける。
ジャガイモの手入れ
【芽かき】
・芽が15~20㎝伸びた時に、元気な芽を2~3本残し、イモが飛び出さないように土を手で押さえながら余分な芽を抜き取る。
・芽かきをした後に1回目の土寄せをする。
【土寄せ】
・イモの収穫量を増やすために、土を株元に寄せる。
・葉丈15~20㎝の頃に1回目(芽かきと同時に実施)、その2週間後に2回目の土寄せをおこなう。
土寄せが十分で、イモが地表に出て太陽の光を浴びると、緑化して有毒物質のソラニンがでてしまうので注意する。
ジャガイモの追肥
・追肥は2回の土寄せのときに行う。
・土を寄せる部分に油かすを1株あたり10gほどまいて、その上に土をかぶせる。
・粘土質の畑では、チッソ分が十分にあるため、追肥は不要。
追肥:油かす 10g/1株(1回ごと)
ジャガイモの収穫
・葉が枯れてきたら収穫の目安。
・よく晴れた日に収穫する。
・茎のあった地上部分が陥没してきたころに収穫すると、成熟したおいしいイモが採れる。
・収穫が早いと未熟なので腐りやすい。
ダイコン(アブラナ科)の育て方
ダイコンの基本情報
・ダイコンの原産地は地中海沿岸かた中央アジアといわれ、冷涼な気候と砂質の土を好みます。
・本来は秋に発芽し、冬を越して春に花を咲かせて子孫を残す植物ですが、初夏から晩秋にかけて収穫するダイコンは、病害虫に強く育ち、品種を選べば連作がでいるものもあります。
適した土質:砂質
適した有機物:油かす
種まき:3月下旬~4月・9月
収穫:6月~7月中旬・11月~1月
ダイコンの土づくり
【耕し方】
・青首系:地上部に伸長する青首系品種を栽培する場合は、まき溝の周辺を18~20㎝の深さまで細かく耕す。現在販売されている品種の多くは、地上部に伸びる青首系。
・吸い込み系:地上部に伸びない吸い込み系の伝統品種の場合は、30㎝以上の深さまでよく耕しておく。
・まき溝の幅は10㎝程度にする。
まき溝:幅10㎝程度
畝間(通路):70㎝
【元肥】
・痩せ地でもよく育つため、元肥は不要。
【土質ごとの土づくりのポイント】
・砂質の土:特別な対策は不要。
・粘土質の土:平畝だと土が硬く根を伸ばしにくいため、15㎝以上の高畝にする。追肥は不要。
ダイコンのタネまき
タネまきは、20㎝間隔に5~6粒ずつ点まき
・深さ2~3㎝、幅10㎝程度のまき溝をつくる。
・20㎝間隔に種を5~6粒ずつまいていき、土をかぶせて鎮圧する。
・種を多くまくと、発芽がそろい、発育もよくなる。
・種まき後はたっぷり水やりをする。
ダイコンの間引き
◎3回に分けて間引く
- 本葉が1本のころ
- 本葉が3~4本のころ
- 本葉が6~7枚のころ(1穴1本にする)
※間引きは残す株の根を傷つけないために、引っこ抜かずにハサミできるといい。
ダイコンの追肥
追肥:油かす 10g/1株
・間引きをして最後の1本立ちにしたときに、チッソ分を補うため、株周りにパラパラと油かすをまく。
肥料分が多いと辛いダイコンになってしまう。
ダイコンの収穫
・種まき後60~70日が収穫の目安。
・収穫期が近づいてくると、地面に広がっていた葉が上へ向かって立ち上がる。
・青首ダイコンは収穫サイズになると首が地表に出てきて緑化する。
・ダイコンは収穫が遅れると中にスが入る。
【収穫したダイコンが二股になる原因】
・根を食べる野菜は、生育初期に細い直根が地面の奥深くに伸びていく。
・この直根の先に有機物や石などの塊があると、その障害物を避けようとして又根になる。
ニンジン(セリ科)の育て方
二ンジンの基本情報
・ニンジンの原産地はアフガニスタン。
・日本にはシルクロード経由で東洋種が、ヨーロッパからは西洋種が渡来した。
・地力がない畑でも栽培できる野菜。
・発芽させるときは土が乾燥しないように水分管理を行う必要がある。
・芽を出して根を深く伸ばすためには、筋まきにして鎮圧をすることがポイント。
・春まきではトンネルなどで保温することも必要。
適した土質:壌土・砂質
適した有機物:発酵系
種まき:春3月中旬~4月上旬・秋7月中旬~8月上旬
収穫:春6月中旬~8月中旬・秋10月中旬~翌年2月
ニンジンの土づくり
【耕し方】
・元肥は施さず、深さ10㎝程度を細かく耕す。
・この時に石などを取り除くことで、又根を防ぐことができる。
・硬い土の塊もほぐして、畝を立て、表面を平らにならしておく。
畝幅:50㎝
畝の高さ:10㎝
【元肥】
・不要。
・根は肥料分が少ないと栄養分を求めて深く伸びる。
・肥料分が多いと根は短くなる。
・根が土の奥深くまで伸びる時に土の中の栄養分を吸収し、おいしいニンジンが育つ性質があるため、元肥は施さない。
【土質ごとの土づくりのポイント】
・砂質の土:ニンジンは発芽の良し悪しでその後の生育が決まるので、雨が降ったとに種まきをするのが望ましい。有機物の少ない砂質の土では、糖度が高く肌のきれいな高品質のニンジンが育つ。
・粘土質の土:土がやや乾燥した時に種をまく。土がしまってしまうため、種まき後の鎮圧は行わない。畝は15㎝程度の高畝にする。
二ンジンのタネまき
・タネまきは、1.5㎝間隔に筋まき
・条間は20㎝にする
・雨上がりの湿った土に筋まきする。
・好光性種子なので、軽く土をかけて鎮圧する。
・粘土質の畑では鎮圧しない。
・発芽が一番難しいので、本葉が揃うまでは寒冷紗をかけて乾いたら水やりをする。
二ンジンの間引き
・間引きは3回行う
・1回目:株間3㎝にする。
・2回目:株間6㎝にする。
・3回目:株間12㎝にする。
※間引きの時に土が硬くなっていたら中耕(畝の表面を軽く耕す)をする。
二ンジンの追肥
・葉の色の緑が濃すぎなければ、3回目の間引きの時に追肥をする。
・油かすを条間の表面にまく。
追肥:発酵油かす 30g/1㎡
二ンジンの収穫
・根元を少し掘り、ニンジンの太さを確認する。
・十分に太ったものから引っこ抜いて収穫する。
・冬採りニンジンは、葉が枯れてしまってもそのまま3か月土の中に置いておける。
・春まきのニンジンは、トウ立ち(花が咲くこと)するのと、実割れ(ニンジンに亀裂が入る)するため、土の中での保存はできない。
ハクサイ(アブラナ科)の育て方
ハクサイの基本情報
・原産地は中国北部で、冷涼な気候を好む。
・収穫時には葉がぎっしりと巻いている。
・葉が光合成をしてつくる糖がハクサイの芯に集まり、独特の甘みができる。
・栄養分に富んだ豊かな土で栽培するのがコツ。
・養分と水分が足りないとうまく育たない。
・植え付けが遅れると収穫ができなくなるため、気温が少し下がる9月上旬ごろに苗を植え付ける。
適した土質:壌土
適した有機物:牛ふん・油かす
苗づくり:8月中旬~8月下旬
植え付け:9月上旬
収穫:11月~翌年1月
ハクサイの土づくり
【耕し方】
・元肥をまいてから、18cmの深さまでよく耕す。肥料をたくさんほしがるので、元肥を多めに施す・後で土寄せするので畝は立てない。
畝と畝の間(通路):70cm
【元肥】
・耕す前に、完熟牛ふん堆肥と油かすを施す。・生長速度がはやいので肥料分をたくさん施して外葉が大きく開くように生育を促す。
堆肥:完熟牛ふん堆肥 3㎏/1㎡
肥料:油かす 300g/1㎡
【土質ごとの土づくりのポイント】
・砂質の土:肥料分が流れやすいので、畝間に完熟堆肥をまいてワラを敷くと保水力と保肥力が高められる。
・粘土質の土:畝間にエンバクを巻くか、雑草を生やしたままにして、水分を過度にためないようにする。
ハクサイの植え付け
50㎝間隔で苗を植え付ける
・本葉が4〜5本になった苗を50cm間隔で植え付ける。・畝間(通路)は70cmほどとる。
ハクサイの土寄せ
・土寄せは2回行う。
- 本葉が10枚のころ
- ①の3週間後
ハクサイの追肥
・外葉が充実しないと結球しないため、追肥を施して外葉を育てる。
・土寄せの1回目と2回目のときに株元に油かすをまいてから土寄せする。
・畝全体が葉で覆われる直前に株の四隅に置き肥をする。
追肥:油かす 20g/1株(1回ごと)
ハクサイの収穫
・ハクサイの頭を押さえて硬く締まっていたら収穫適期。
・株元から包丁などで刈り取る。
・順調に生育すると、葉脈が太く大きくなり、ふっくらとして葉が80枚以上になる。
・生育が悪かった場合は、葉の枚数が少なく、全体が細長い形をしている。
◎冬の収穫のポイント
ハクサイを外葉で包むようにヒモで縛っておくと、寒さがあたる外葉は枯れますが、中葉は傷まず2月頃までそのまま畑に置ける。
ブロッコリー(アブラナ科)の育て方
ブロッコリーの基本情報
・ブロッコリーの原産地は地中海沿岸。
・生育適温は12~13度前後で。冷涼な気候を好む。
・苗づくりの時は、高温に強いですが、花蕾が肥大すると高温に弱くなるため、春と秋の栽培が適している。
・生育が順調だと、つぼみが隙間なく密生し、かたく締まったおいしい花蕾を収穫することができる。
・頂花蕾を収穫した後もわき芽から出る花蕾を収穫すれば長く収穫が楽しめる。
適した土質:壌土
適した有機物:牛ふん・油かす
苗づくり:2月中旬~3月中旬・7月~8月
収穫:6月~7月上旬・11月下旬~3月上旬
ブロッコリーの土づくり
【耕し方】
・元肥を畝全体に散布したら、18㎝の深さをやや粗く耕す。
・後で土寄せをするので、畝は高くしなくていい。
畝幅:45㎝
畝の高さ:高くしなくていい
【元肥】
・耕す前に、完熟牛ふん堆肥と油かすを畝全体にまく。
・元肥は植え付けの2週間前までに施しておく。
堆肥:完熟堆肥 2㎏/1㎡
肥料:油かす 200g/1㎡
【土質ごとの土づくりのポイント】
・砂質の土:肥料分が流れやすいので、畝間に完熟堆肥をまいてワラを敷くと、保水力と保肥力が高められる。
・粘土質の土:畝間にエンバクをまくか、雑草を生やして水分を過度にためないようにする。
ブロッコリーの植え付け
・本葉が5~6枚の苗を植え付ける。
・秋の栽培は、彼岸を過ぎてからの定植は、生育が極端に悪くなり、花蕾の大きさや質に影響が出るので、秋は遅くとも9月中旬までに植え付けをおこなう。
45㎝間隔に植え付ける
ブロッコリーの土寄せ
・大きな株に育てるために、植え付け後2週間目と、その後3週間ごとに土寄せをする。
・頂花蕾の収穫後も側花蕾を収穫するために、追肥して土寄せをする。
ブロッコリーの追肥
・生育を見ながら植え付け後2週間目、その後3週間ごとに油かすを1株10g程度株元にまいて土寄せをする。
・頂花蕾の収穫後もわき芽を収穫するために、同じ量の追肥と土寄せをする。
追肥:油かす 10g/1株(1回ごと)
ブロッコリーの収穫
・主茎の頂点にできる花蕾を「頂花蕾」という。
・花蕾ができると株が弱るので、頂花蕾はあまり大きくせず、直径15㎝くらいで収穫するといい。
・その時、収穫する側の茎を短く切ると、小さい花蕾がたくさん採れる。
【大きな側花蕾を収穫する方法】
・頂花蕾を収穫する時に、収穫する側の茎を長くとって切ると、残ったわき芽が少なくなる。
・数は少ないが、1つ1つに栄養が集中するため、大きな花蕾が収穫できる。
・同じように側花蕾を収穫すると、3回目も大きな花蕾が収穫できる。
【小さな側花蕾を収穫する方法】
・頂花蕾を茎葉1~2枚つけて短く切り、葉を多く残して収穫すると、わき芽がたくさん発生して2回目の側花蕾の収穫量が多くなる。
・数が多い分、栄養分が分散されるため、1つ1つの花蕾は小さくなる。
・小さな側花蕾は収穫までの期間が短いため、こまめに収穫することがポイント。
・開花させてしまうと、その後わき芽が出てこなくなる。
・上手に管理すれば4~5回収穫できる。
ブロッコリーの収穫後の残渣の活用方法
・アブラナ科の野菜には、辛み成分が含まれる。
・ブロッコリーの葉を土にすき込んでおくことで、病原菌やセンチュウを駆除する効果がある。
ホウレンソウ(アサガ科)の育て方
ホウレンソウの基本情報
・ホウレンソウの原産地は、ユーカサスからイランにかけての西アジア地域。
・生育温度は8~23℃と冷涼な気候を好む。
・1年中栽培できて栄養価が高い野菜。
・氷点下の低温に耐えたホウレンソウは特に甘みが強く、「寒締めホウレンソウ」とよばれる。
適した土質:壌土
適した有機物:牛ふん・油かす
種まき:春3月中旬~4月・秋9月~10月
収穫:春5月~6月秋・11月~2月中旬
ホウレンソウの土づくり
【耕し方】
・元肥を施してから深さ18㎝をやや粗く耕す。
・発芽がそろうように表面5㎝は細かく耕して畝を立てる。
・畝の表面を平らにならしておく。
畝幅:90㎝
畝の高さ:10㎝
【元肥】
・畝を立てる前に元肥を施す。
堆肥:完熟牛ふん堆肥 2㎏/1㎡
肥料:油かす 200g/1㎡
【土質ごとの土づくりのポイント】
・砂質の土:ホウレンソウの発芽の良し悪しでその後の発育が決まるため、種まき後は十分に水やりをする。
・粘土質の土:畝の間を15㎝掘って水はけをよくする。もみ殻をすき込んで水はけを改善する。
ホウレンソウのタネまき
タネまきは、15㎝間隔に筋まき
・発芽しにくいので、種は一晩中水に浸けておく。
・深さ2㎝のまき溝をつくり、種を筋まきにする。
・まき溝は支柱を横にして土に押し当てるように使うと、きれいに作れる。
・土と種が密着するように鎮圧する。
ホウレンソウの間引き
・1回目は本葉が1枚のときに株間3~4㎝に間引く。
・2回目は草丈7~8㎝のときに株間5~6㎝に間引く。
※2回目の間引きのタイミングで追肥をする。
ホウレンソウの追肥
・2回目の間引きのタイミングで、条間に油かすをパラパラとまく。
・その後は葉の色をみて薄いようなら追肥をする。
追肥:油かす 30g/1㎡(1回ごと)