畑や庭で野菜を育てるぞ!と意気込んで野菜の苗を購入したけれど、植え付けの時期や方法が分からない!という方はいませんか?
野菜づくりの初心者さんは、何となく作業はイメージできても、具体的に何を準備すればいいか、気を付けたらいいかポイントが分からないと不安ですよね。
今回は、野菜の苗を畑や庭に植え付ける時期やポイントについて解説します。
この記事を読むことで、苗を植え付ける前に準備することや、植え付けの方法が分かり、実践に移せるようになります。
結論は、苗の植え付けは十分に暖かくなってきたゴールデンウイーク頃がいい。
苗の植え付けの2週間前までに土づくりを終わらせておく必要がある。
苗は丈夫なものを選び、夏場は晴天の午前中に、冬場は曇りの日の夕方に植え付けを行うとよい。
いい苗の選び方
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【いい苗の特徴】
健康ないい苗を選ぶことで、病害虫の被害を受けにくくなり育てやすくなる、収穫量が増えるなどメリットが多くあります。いい苗を選ぶポイントを簡単に解説します。
- 葉は、緑色が濃く、厚みとつやがあり、葉焼けや虫食いがない
- 茎は、太くしっかりしていて、倒れていないもの
- 根は、白く適度にポットの底から根が出ている
- 茎の葉と葉の間がつまったもの
- 病害虫の被害がないもの
いい苗の選び方は、こちらの記事で詳しく解説しているのでご覧ください。
苗は種から育てるより簡単
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野菜づくりはおおまかに種から育てる場合と、苗を購入して植え付ける場合があります。
種からではなく、苗から育てるメリットを解説します。
1.収穫までの期間が短い:種は発芽に時間がかかるものもある。苗から育てる場合は、ある程度成長しているため収穫までの期間が短くなる。
2.栽培がしやすい:苗は種より生長し、身体も丈夫になっているので、種よりも育てやすく失敗も少ない。
3.病害虫の被害が少ない:苗がある程度生長しているため、病害虫に抵抗力があるため被害を受けにくい。
4.早めに収穫を楽しめる:苗がすでに生長しているため、収穫までの期間が短い。
植え付け前の済ませておくこと(土づくり・畝立て・マルチング)
野菜の苗を植え付ける前に、畑や庭の土づくりや必要に応じてマルチングを済ませておきましょう。
土づくり
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土づくりとは:野菜づくりをするのに適した土に整えること。堆肥を入れて土の栄養分を補給したり、水はけ通気性をよくする。また、野菜が育ちやすい土の酸度に調整するため、酸度調整をする資材を入れること。
ナスやトマトなど夏野菜を育てる場合は4~5月のゴールデンウィークに植え付けを行うので、3月下旬から4月上旬頃には土づくりを開始します。
土づくりに必要な資材は主に3つあり、①堆肥(土の質の改善と養分) ②石灰(土の酸度調整)③元肥(肥料)あり、さまざまな方法はありますが、堆肥と石灰は植え付けの3週間前までに、元肥は植え付けの1週間前に行うことが一般的です。
畝立て
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植え付け1週間前の、元肥を入れるタイミングで畝立てをします。
畝は野菜を育てるベッドのような役割で、野菜の根を張りやすくしたり、通路と野菜のベッドの境界線を分かりやすくする働きもあります。
作物にはそれぞれ栽培に適した間隔があり、株の間隔を「株間」、列の間隔を「条間」と呼びます。
畝立ての段階でこれを調べておくと、苗の必要数を把握することができる。
マルチング
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マルチングは、土の保温や保湿、雑草の予防、病気の予防など、さまざまな効果があります。
畝立てと同じタイミングで行うことが多いです。
初心者さんは黒のビニールマルチがおすすめです!
植え付けに適した時期とタイミング
野菜の苗を植え付けるタイミングは、野菜の種類と地域の気候によって異なります。
一般的には、春と秋が適期とされています。
ここでは中間地という一般的な気候の地域での植え付けのタイミングを季節ごとに解説します。
夏野菜の植え付けの時期とタイミング
【春に植える野菜の例】
トマト、ピーマン、ナス、キュウリ、スイカ、メロン、ズッキーニ、カボチャ、トウモロコシ、枝豆など
関東などの中間地なら5月の連休前後に植え付けることが一般的です。
トマトやナスなどの夏野菜は高温を好むので、晴天の午前中に植えるのがおすすめ。
植付けは霜の心配がなくなる頃に行います。
秋冬野菜の植え付けの時期とタイミング
【秋に植える野菜の例】
キャベツ、白菜、ブロッコリー、カリフラワー、ほうれん草、小松菜、水菜、カブ、大根、ネギ
中間地であれば9月中旬~10月中旬に植え付けます。
白菜やキャベツなども秋冬野菜は低温を好むので、曇りの日の夕方に植え付けます。
秋冬野菜を植え付ける 秋口は気温が低下し、日が短くなるなので、十分に大きく、しっかりした苗を植えるのが大切。
小さいうちだと白菜やキャベツなどは葉が大きくならず結球しないことがあります。
苗の植え付けを5月にする理由
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地域にもよりますが、ホームセンターには4月頃から野菜の苗が並びますよね。
ホームセンターや園芸店に苗が並んでいれば、すぐに植え付けてもいいと思う人もいると思いますが、4月上旬は特に寒さも残り、野菜の苗にとっては寒くて過酷な環境になってしまいます。
野菜の苗を5月に植える理由は以下の通りです。
1. 気温が安定する:5月は、多くの地域で気温が安定し、霜の心配がなくなる。夏野菜は寒さに弱いため、気温が低すぎる時期に植えると、育ちが悪くなったり、枯れてしまう可能性がある。
2. 土壌が温まる:5月は土も十分に温まる。土壌温度が低すぎると、野菜の根の発育が悪くなり、水を吸い上げにくくなる。
3. 日照時間が長くなる:5月になると徐々に日照時間が長くなる。光合成は、植物が生長するために必要な過程であり、日照時間が長いほど、植物はより多く生長することがでる。
ただし、地域によっては、5月よりも早い時期や遅い時期に苗を植えることもあります。これは、地域の気候や栽培する野菜の種類によって異なるためです。
例えば、沖縄のような温暖な地域では、3月から4月頃に苗を植えることもあります。一方、北海道のような寒冷な地域では、5月下旬から6月頃に苗を植えることもあります。
苗を植える時期は、地域の気候や栽培する野菜の種類に合わせて、適切な時期を選ぶことが大切です。
植え付けに必要なもの
- 【苗の植え付けに必要なもの】
- 野菜の苗
- メジャー
- マルチングに穴をあけるもの
- スコップ
- ジョウロ
- 支柱
- 紐
・野菜の苗:作物にはそれぞれ栽培に適した間隔があり、株の間隔を「株間」、列の間隔を「条間」と呼ぶ。自分の畑や庭にあった苗の数を把握し購入しておく。
・メジャーなど:苗の植え付ける間隔を測る。自分の手や足などを使って測ることもできる。
ひもや棒さサイズをあらかじめ測っておき、メジャー代わりに使う方法もある。
※私は親指と人差し指を思い切り広げた間隔が15㎝なので、自分の手をメジャー代わりに使っています。
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・マルチングに穴をあけるもの:穴あきマルチの場合は不要。専用の穴あけ資材もある。ハサミで切り込みを入れてもよい。
・スコップ:苗を植え付けるときに土を掘る。
・ジョウロ:苗を植え付けるときに水を使う過程がある。
・支柱と紐:苗を固定する。
植え付け手順
①植え付けの朝にポットに水やりをする
前もって水やりをしておくことで、ポット(苗が販売されている時のプラスチックの容器)から苗を取り出すときに土が崩れるのを防ぎ、根の活着もよくなります。
②野菜を植え付ける間隔を決める
作物にはそれぞれ栽培に適した間隔があり、株の間隔を「株間」、列の間隔を「条間」と呼びます。
植え付けを行う苗にあった間隔を測ります。
植え付ける間隔にポットを置きながら測ると植え付けの間隔をイメージしやすくなります。
③マルチングに穴をあける
穴あきマルチを使用する場合と、マルチングをしない場合はこの作業は不要です。
専用のマルチに穴をあける道具を使うか、ハサミを使って、植えつけをする位置にポットと同じくらいの直径で穴をあけます。
ハサミで穴をあける場合は、軽く切り込みを入れて、手で伸ばしながら広げてもいいです。ただし、力を入れすぎてマルチングが外れたり、ずれてしまわないよいに注意しましょう。
④植え付け用の穴を掘る
マルチングに穴をあけた部分に10㎝程度の深さの穴を掘ります。
スコップがあった方が便利ですが、ない場合は手で掘っても大丈夫です。
⑤穴に水を入れる
10㎝程度の深さに掘った穴にジョウロで水をたっぷり入れます。
穴から水があふれる手前を目安にたっぷりと水を入れましょう。
水がひくまで待ちます。
⑥苗を取り出す
苗を手に取り、苗の株元(土に近い部分)を片手でそっと持ちます。
ポットを逆さにして、ポットの底穴を軽く指で押し、根鉢を傷めないようにポットから苗を取り出します。
取り出した苗を先ほど掘った穴のに置きます。
⑦苗を植える
植え穴に入れた苗の株元が地表に来るように高さを調整します。
浅くなりそうなときは、再び苗を取り出して土を掘り、深くなりすぎてしまうときは穴に少しずつ土を戻して穴を浅くします。
植え穴に入れた苗の株元が地表に出るように高さを調整してから、苗と穴の隙間に周囲の土を入れて、苗の周辺を上から手で軽く押さえます。
・接木苗の場合は、必ず接ぎ木部分が地上にでるように植えつけましょう。
⑧苗を支柱に固定する
トマトやナスのように背が高い野菜は支柱を立てて固定します。
植えつけたばかりの苗は根が新しい土に馴染んでおらず、グラグラしています。
強風で倒れてしまったり、ぐらつくことで、新しい土に根付くのが遅くなることがあり、野菜の生長に影響を及ぼします。
そのため、支柱を立てて、苗を紐で固定します。
苗をひもで結ぶ時は、苗を傷つけないよう注意が必要です。
「8の字結び」をすると苗を傷めず、支柱にしっかりと固定できます。
固結びをしてしまうと苗の茎を傷めることがあります。
植え付けのポイント
- 事前に土づくりを済ませておく→土づくりは野菜づくりの基本。
- いい苗を選ぶ→健康的な苗は育てやすく、収穫量も多くなる。
- 苗は適切な時期に植える→寒すぎると苗が弱ってしまう。遅すぎても十分に生長しないため、収穫量が減る。
- 植え付け前に苗に水を与えておく→ポットから苗を取り出しやすくなり、根を傷めるリスクが減る。植え付け後の根の活着もよくなる。
- 適切な株間をとって苗を植える→密集すると、風通しが悪くなり病害虫の被害を受けやすくなる。栄養分を奪い合い、収穫量が減ってしまう。
- 背が高い苗は支柱で固定する→根の活着がよくなる。苗が折れるのを防ぐ。
苗を植える深さの注意点
野菜の苗を植え付ける深さは、野菜の種類によって異なりますが、一般的には、ポットの土と畑の土が同じ高さになるように植え付ければ問題ありません。
苗を植え付ける深さは以下の点に注意して行いましょう。
【苗の植え付けの深さの注意点】
1. 根元が埋もれないようにする:苗の根元が土に埋もれるとカビが発生して腐ってしまう。根元がしっかりと陽に当たり、土に埋もれないように注意する。
2. 接ぎ木苗の場合は、接ぎ目を埋めない:接ぎ木苗の場合は、接ぎ目を土に埋めてしまうと、台木と穂木の成長が阻害される。接ぎ目は必ず土の上に露出するようにする。
3. 深植えしすぎない:根の発育が悪くなり、水を吸い上げにくくなる。根腐れの原因にもなる。
4. 浅植えしすぎない:倒れやすくなり風などで傷んでしまう。
引越(植え替え)が苦手な野菜は種から育てたほうがいい
苗から育てるメリットはたくさんありますが、苗を畑や庭に植え替える「引っ越し」を苦手としている野菜もいます。
植え替えをしないほうがいい野菜は、おもに根っこを食べる根菜類です。
植え替えによって根が傷つき、生育が悪くなったり、枯れてしまう可能性があります。
根菜類などの一部の野菜は種から育てることをおすすめします。
例:ダイコン・ニンジン・ジャガイモなど
ただし、ホームセンターや園芸店で販売されているポット苗は、基本的に植え替えて問題ない植物なので、心配はいりません。