【緑肥】広い畑があれば家庭菜園でも活用できる!おすすめの緑肥やメリット・デメリット・利用方法を解説!

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畑では、『食べる』ことを目的とせずに育てる植物があることを知っていますか?今回は、植物を肥料として利用するために育てる『緑肥』について解説します。

この記事では、緑肥であるマメ科とイネ科の植物についての解説と、それぞれどのような植物の種類があるのか、緑肥のメリット・デメリットについて解説します。

緑肥を育てる場合は、時間と場所が取られるため、ある程度の広さのある庭や畑で家庭菜園を行っている方におすすめの内容となっています。

緑肥は、市民農園やシェア畑などの小さい畑を借りている場合はスペースが限られているため育てることが難しいことが現実です。

しかし、育てることはできなくても、緑肥について知るきっかけになればと思います。

目次

緑肥とは

緑肥(りょくひ)とは、植物そのものを肥料として利用することをいいます。

食べる目的ではなく、肥料の材料として育てたり、土の質を良くする目的病害虫の予防のために使われます。

緑肥には、おもにイネ科やマメ科の植物が使われます。

緑肥のメリット

緑肥には、土の質を良くしたり、肥料の削減できるなどのメリットがあります。

土の質を改善する

緑肥の根が土の中に張りめぐらされるため、硬い土は伸びた根によって、耕されるように柔らかくなります。また、緑肥の根を土に残して刈り取ることで、緑肥の根が土の中に残ることで、微生物のエサになり、土がより豊かになります。

微生物が活発になることで、植物の根などの有機物を分解し、作物が吸収しやすい形に変えてくれます。また、微生物が活動すると、フンや粘液を分泌し、小さい土の粒子同士をくっつけるための接着剤の役割を果たします。すると、土の間に適度な空間が生まれ、通気性や水はけが良く、肥料持ちもいい『団粒構造の土』に近づけることができます。

病害虫の予防をする

緑肥の中には、特定の病害虫を抑制する効果があるものもあります。

【例】

  • マリーゴールドを土にすき込むことで、センチュウの駆除になる。
  • エン麦は、自分の根にセンチュウを侵入させるが、増殖させないため、土の中のセンチュウが減る。
  • クローバーやマリーゴールド、ソバ、ブルーサルビアは、花粉や蜜が害虫の天敵を呼び寄せる。
  • 害虫が好む緑肥作物を植えることで、害虫の天敵を呼び寄せて害虫被害を減らす。

肥料の削減になる

緑肥作物の一つであるマメ科の植物には、根粒菌と共生することで空気中の窒素を固定し、自ら窒素肥料を作り出すことができる性質があります。これにより、化学肥料の窒素成分を減らすことができ、肥料の削減につながります。

また、緑肥作物自体に栄養分が豊富に含まれているものもあり、緑肥を畑にすき込むことで、肥料の代わりにすることができます。

おいも

根粒菌や窒素固定についてはこちら☟の記事にまとめたのでご覧ください。

緑肥のデメリット

緑肥は土壌の改善や病害虫の予防に非常に有効ですが、メリットだけでなくデメリットも存在します。

育てるまでに場所と時間が必要

緑肥を育てるには一定の期間が必要であり、その間は、その場所では作物を栽培することができません。

また、市民農園やシェア畑など、限られたスペースで家庭菜園をしている人は、場所の確保が難しいため、肥料にするためだけの緑肥を育てることは現実的ではありません。

天候などの影響を受ける

緑肥の生育は、天候や土の状態に大きく左右されます。乾燥や病害虫の発生などにより、期待通りに緑肥が育たない場合もあります。

緑肥を育てるための手間がかかる

緑肥の種まき、刈り取り、すき込みなど、作業に手間と時間がかかります。緑肥ももとは植物なので、それなりの管理が必要になります。

緑肥の種類と特徴

土を耕やす イネ科の緑肥作物

イネ科中でも手に入りやすくてよく利用されているのが、エンバクやライ麦やソルゴーです。

イネ科の作物を育てると土がふかふかになります。

イネ科の作物は広く浅く根を張り、細かいひげ根をたくさん出す性質があり、根によって土が細かく砕かれ、土が自然と耕された状態になっていきます。

イネ科の作物は、土から上に伸びた部分を刈り取ってマルチングや堆肥づくりに使うことが多く、土の中の微生物のエサにもなります。

刈り取った後も、根は地中にたくさんの残ります。

その根はしだいに土の中の微生物によって分解され、土の中に編み目のような細かい空洞ができます。

すると、適度な隙間ができることで土の水はけや通気性がよくなり、土の中の微生物の住み心地も良くなり、野菜づくりに欠かせない団粒構造が発達していきます。

  • イネ科の緑肥作物は広く浅く根を張る。
  • 根によって土が細かく砕かれ、土が自然に耕された状態になる。
  • 植物を刈り取ったあとの根を微生物が分解すると、適度な隙間ができて水はけや通気性のいい土になる。

春夏にまくイネ科の緑肥作物

ソルゴー

トウモロコシの仲間で光合成能力が高く、生育が大勢。 土壌改善や害虫の予防に利用するのがおすすめ。

ギニアグラス

ネコブセンチュウの抑制に効果的。生育旺盛で雑草競合に強い。

秋にまくイネ科の緑肥作物

エンバク

痩せ地でもよく育ち寒さにも強い。 土壌改善や敷きワラ障壁に使うのがおすすめ。 草丈は60~160cm程度になる。

ライムギ

ネグサレセンチュウの防除に役立つ。 草丈は130~180cmと高くなるので、隣の畝に日陰ができやすくなる。

コムギ

寒い地域でよく育つ。草丈は100cm程度で土作りや敷きワラ、 障壁として利用するのがおすすめ。

土を肥やすマメ科の緑肥作物

マメ科の緑肥作物の特徴は土を自然と肥やす力があること。

マメ科の植物の根には、よく見ると数ミリの小さな粒がついています。

この粒は、「根粒菌」と呼ばれるもので、その中には空気中の窒素を固定する菌が住んでいます。

マメ科の植物を育てると、痩せた土であっても、空気中の窒素が取り込まれるため、次第に土が肥沃になり、野菜がよく育つ畑と変わっていきます

また、マメ科は土の水はけをよくする働きもあります。深根性といって太い根を深い位置に根を伸ばす性質があり、 特にセスバニアはマメ科の中でも大きく育ち、草丈と同じくらい太い直根が地中に深くまで伸びるといわれています。

水はけの悪い場所で、こうした緑肥作物を大きく育てると土が硬くしまった深い層にも穴を開け、水はけがよくなります。

こうして根によって開いた穴は、 5〜6年塞がらないともいわれています。

  • マメ科の植物は根粒菌の働きにより、空気中の窒素分を根に蓄えることができる。
  • 痩せた土でもマメ科の植物を育てることで次第に野菜が育ちやすい土になる。
  • マメ科の根は太くて長いため、硬い土にも穴をあけ、土の水はけがよくなる。

春夏にまくマメ科の緑肥作物

クロタラリア

水はけのいい畑でよく育つ。草丈が2m以上にもなり茎も太くなる。 ネコブセンチュウの防除に役立つ。

セスバニア

湿気に強く、粘土質よりの畑でもよく育つ。セスバニアとクロタラリアは窒素固定能力がレンゲの3〜4倍ある。

秋にまくマメ科の緑肥作物

クリムソンクローバー

酸性土壌や湿気に弱い。

ヘアリーベッチ

ツル性で地面を這うように葉を伸ばす。雑草を抑えるのに効果的。どんな場所でもよく育つ。

カラスノエンドウ

日本の気候条件に最も適したマメ科の野草。ツル性だがつるはあまり伸びない。 窒素固定能力は高め。

畑をリセットする緑肥作物

緑肥作物には、肥料をたくさん吸う性質があり、肥料を与え過ぎて養分過多になってしまった土や化学肥料を使っていた畑をリセットすることができます。

イネ科の緑肥作物も窒素やケイ酸をよく吸収しますが、カルシウムやカルシウムと結合したリン酸は吸収できません。

そのため、土壌のリセットをするには「ソバ」と「ひまわり」を一緒に育てることががおすすめです。

特に、ソバの肥料を吸収する力は凄まじく、野菜が全く育たなくなるような痩せ地でも栽培できるといわれています。

ひまわりも肥料分をよく吸収します。大きいひまわりは刈り取るのが大変なので、刈り取るのが楽な ミニひまわりを育てるのがおすすめです。

また、化学肥料を使用した畑で育てた作物を堆肥として利用しても、問題ありません。

  • 緑肥作物は肥料をたくさん吸うため、養分過多になった土や化学肥料を使っていた土の肥料分を吸うが、カルシウムやカルシウムなど、一部の養分を吸収できない欠点もある。
  • 養分過多の畑や化学肥料をリセットする場合は、緑肥作物よりも「ソバ」と「ひまわり」の組み合わせで育てるといい。
  • 化学肥料を使用した畑で育てた作物も堆肥として利用することは可能。

緑肥作物の活用法

緑肥作物の根をそのままにしておくと、「根が土を耕す」効果があることを説明しました。

ここでは緑肥作物を育てて刈り取った部分(茎や葉)の活用方法を解説します。

マルチとして利用する

活用法で一番おすすめなのが草マルチに使うことです。

緑肥作物を畝や通路に敷いてマルチとして利用すると次のような効果が得られます。

  • 土の乾燥を防ぎ適度な湿度温度が保つことで野菜の根が育ちやすくなる。
  • 土壌生物も住みやす環境になり土の団粒化が促される。
  • 土の団粒化が進むことで、水はけと水持ちのいい畑になる。
  • 野菜が元気に育ち病害虫の被害を受けにくくなる。
  • 敷いた緑肥作物の隙間や下は益虫のすみかにもなるため、害虫の被害も減る。
  • 雨が降った時に土の流出も防いでくれる。
  • 雨による泥ハネも防げるため病気の予防にも役立つ。
  • マメ科であれば敷いておくだけで窒素分が土に流れ出していく。
  • 敷いた緑肥作物は土と接している部分から微生物によって分解されていくので、堆肥づくりにも有効。

エンバクなどのムギ類であれば、「ワラ」になるため、活用の幅が広がります。

肥料として活用する

緑肥作物は、花が咲く前に茎や葉に養分をたっぷりため込みます。

肥料分として使う場合は細かくして畑にすき込むと分解が早いです。

緑肥作物は、養分が一番多い時期に刈り取るのがポイントで、イネ科なら穂が出る直前、それ以外は花かつぼみの時期がベストです。

草マルチとして利用した場合は、十分に朽ちてきてから土に混ぜ込むようにしましょう。

緑肥作物は刈り取って青々した状態で畑の土の中にすき込んだ場合、すぐに野菜を植え付けると生育障害が起こりやすくなるので注意しましょう。

堆肥の材料になる


開花前に刈り取った緑肥作物は堆肥の材料として最適です。

朽ちてきた緑肥作物を畑にすき込んだり、畑の空いたスペースを利用して堆肥づくりをすることもおすすめです。

風よけや虫除けになる。

背が高くなる緑肥作物(イネ科のライムギやコムギなど)は筋状に種をまいて育てると草の壁になります。

草の障壁は、風よけになり、畑を囲うように種をまけば、よそから飛んでくる 害虫の侵入を防いでくれる役割もあります。

特にイネ科にはアブラムシが集まってきて繁殖もしますが、アブラムシを捕食するてんとう虫などの益虫も集まります。

そのため、イネ科の緑作物の近くに植えた野菜はアブラムシがつきにくくなると言われている。

緑肥を使用するうえでの注意点

緑肥を使用する際の注意点について解説します。

緑肥は十分に育ててから刈り取る

緑肥作物を肥料として刈り取る時は、十分に育ててからにします。

刈り取りの時期の目安としては、イネ科植物では穂が出始める頃、マメ科植物では花が咲き始める頃です。

緑肥作物は、ここまで成長させてから刈りとるのが理想的です。逆に、刈り取りが遅くなることで、緑肥が硬くなり、刈り取ることに力が必要になったり、土の中での分解が遅くなり、緑肥を育てるデメリットが大きくなってしまいます。そのため、適切な時期に刈りとることを心がけましょう。

緑肥をすき込んだ後はしばらく種まきを避ける

多くの緑肥は、ほかの植物の発芽を抑制する性質を持ち、雑草の成長が抑えられます。

この効果は野菜のタネの発芽にも影響を与えるます。緑肥を土にすき込んだあとは、約2週間程度種まきを控えましょう

緑肥と野菜を育てる位置関係に配慮する

緑肥を野菜を混ぜて栽培する場合は、植物同士の競争を避けるために、30cmを目安に間隔を開けて育てましょう

また、緑肥を選ぶ際には、生長するとどのくらいの背丈になるのかを調べてから購入しましょう。育てている野菜よりも背の高い緑肥を植えることで、日当たりが悪くなり、野菜の収穫量が減ってしまう可能性があります。

緑肥を育てるメリットはたくさんありますが、1番育てたい野菜の元気がなくなってしまっては本末転倒です。野菜が十分な日光を浴びるように配慮しましょう。

まとめ

今回は緑肥作物の素晴らしさについて解説しました。記事の内容をまとめます。

・緑肥作物とは、植物そのものを肥料として利用する植物のことをいう。
・主な緑肥作物には、マメ科やイネ科の植物がある。
・緑肥作物は根を広く張ったり、深く張る性質があり、自然に土が耕されるため、土の団粒化が進み土づくりに役立つ。
・緑肥作物は、マルチ・肥料・堆肥・障壁など様々な活用法がある。

畑や庭のスペースに余裕があれば、緑肥作物をぜひ取り入れてみてください。


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