連作障害は気にしなくていい?連作障害の原因と対策・相性のいい前後作について解説

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野菜は同じ場所で作り続けない方がいいということを聞いたことはありませんか?

野菜は種類ごとに好みの栄養分などが異なるため、同じ野菜を同じ場所で作り続けてしまうと、ある特定の栄養分が過剰に減ったり、増えたりするため、野菜の育ちが悪くなります。

今回は、そんな連作障害について原因や対処法について解説します。

目次

連作障害とは

連作障害とは、同じ場所で同じ作物(または同じ科の作物)を続けて栽培すると、生育不良や収穫量の減少、病害虫の発生などが起こる現象です。

家庭菜園初心者

たしかに同じ場所で野菜は作り続けないほうがいいって聞いたことがあるよ!

おいも

野菜も好みの栄養分があるから、同じ場所で同じ野菜を育て続けると土の中にも偏りが出てきてしまうんだ!

連作障害の原因

土の栄養分が偏る

同じ作物を栽培し続けると、その作物が好む特定の養分が土壌から消耗し、偏りが生じます。

おいも

野菜は種類ごとに好みの栄養分に違いがあるよ!

  • 例:トマトはカリウムを多く必要とするため、トマトを連作すると土壌中のカリウムが不足し、生育不良になる。

土の中の微生物が偏る

同じ作物を栽培し続けると、その作物の病原菌や害虫が土壌に増殖し、土壌微生物のバランスが崩れます。結果として、作物にカビが生えたり、病気にかかってしまうことがあります。

  • 例:キュウリはうどんこ病にかかりやすいので、キュウリを連作すると土壌中にうどんこ病の菌が増え、発病しやすくなる。
おいも

何事もバランスが大切!

連作障害の症状や病気について

連作障害の症状は、土の中に生息している病原体が作物に影響を及ぼすもの、センチュウという生き物によって引き起こされるもの、土の中の栄養分の偏りによって生じる生理障害とよばれるものの3つに分かれます。

土の中の病原体によって引き起こされるもの

土の中に生息している病原体が、作物の根や茎などの土と接している部分から入り込み、作物の中で病原体が増殖して発症する病気のことをいい、土壌病害や土壌伝染性病害とも呼ばれています。

病気を引き起こす病原体には、菌類・細菌・ウイルスなどがあり、同じ作物を同じ場所で育てる連作によって発症しやすくなるため、連作障害の主な原因となっています。

連作障害によって引き起こされる主な植物の病気の例を紹介します。

青枯病(あおがれびょう)

青枯れ病にかかったトマト

青枯病は、梅雨~10月頃までの高温多湿の時期に発生しやすい特徴があります。発生しやすい作物は、トマトやナスなどです。

【症状】
・昼間は茎や葉が急にしおれ、日が当たらないときは一時的に回復する。
・株の上の葉から被害を受けて、全体に広がる。
・徐々に回復しなくなり、青みを残したまま枯れていく。
・短期間のうちに被害が広がる。
・茎や根の断面は変色し、乳白色の粘液が出る。

根こぶ病(ねこぶびょう)

根こぶ病にかかったキャベツの根

根こぶ病は、4、5月~10月頃で、気温が20~30度の時期に発生しやすい特徴があります。アブラナ科の植物にのみ発生します。例として、白菜、キャベツなどがあります。

【症状】
・生育が悪くなり、葉が色褪せる。
・根にコブのような球がついている。
・根コブセンチュウの症状と似ているがコブが大きい。
・アブラナ科の作物のみ発症する。

萎黄病(いおうびょう)

萎黄病は25度以上から夏の終わりまでの気温が高い時期に発生します。ダイコンやキャベツなどのアブラナ科の野菜に限って発生します。

【症状】
・新しい葉が黄色くなる。
・葉が小さくなったり縮んだり、変形する。
・温度が高い時ほど症状が強く出る。
・茎を切ると変色している。
・根は黒く変色し腐っていく。

つる割れ病(つるわれびょう)

つる割れ病は、気温が20~30度となる、4、5月~10月に発生します。キュウリやスイカなどのウリ科の野菜が被害にあいます。

【症状】
・昼間に下の葉がしおれて夜は回復する。
・徐々に全体に広がり、夜になっても回復しなくなる。
・症状が進むと、茎から茶色の汁が出たり、カビが発生する。

センチュウによる被害

センチュウ(線虫)とは、体長1㎜以下の細長い形をしていて、肉眼では見えにくいことから病気として扱われています。センチュウに寄生されると、根にコブができたり、根腐れが現れるのが特徴です。

センチュウは、土の中に生息し、主に植物の根に寄生し、コブを形成するセンチュウ(ネコブセンチュウ)と根を腐らせるセンチュウ(ネグサレセンチュウ)に分かれます。一度、畑や庭に侵入したセンチュウを根絶することは不可能に近いと言われているため、侵入を予防することが大切です。

センチュウの被害は、土の中の微生物のバランスの崩れで生じやすいため、連作するほどセンチュウ被害が増える傾向にあります。

【症状】
・3~10月に発生し15~30度の多湿で増殖する。
・根こぶ病のコブより小さく、真珠程の大きさのコブが根についている。
・目立った症状が出ないこともある。
・症状が進行すると、根腐れが起こる場合もある。

土の栄養の偏りによっておこる生理障害

土の中の栄養分の過不足や、気温の変化や降水量、日射量のストレスによって引き起こされるものを生理障害といいます。連作障害で主に関係してくるのが、栄養バランスです。作物ごとに欲する栄養素や量が異なるため、同じ作物を続けて栽培することで、土の中の栄養分に偏りが生じ、作物が健康に育たなくなってしまう場合があります。

作物に合った肥料を施すことはもちろん大切ですが、生理障害は栄養分だけではなく、気温や天候などにも左右されるため、植物を観察しながらなぜ症状が出ているのかを見極める必要があります。

野菜別の連作を避ける期間

連作障害が出にくい野菜もあれば、注意が必要な野菜もあります。以下の表を参考にして、作付け計画を行いましょう。

連作を避ける期間野菜の種類
連作可能な野菜・エダマメ
・カボチャ
・コマツナ
・サツマイモ
・ズッキーニ
・タマネギ
・トウモロコシ
・ネギ
・ニンジンなど
1年以上休ませるべき野菜・カブ
・ダイコン
・キャベツ
・ほうれん草
・白菜など(※アブラナ科)
2年以上休ませるべき野菜・キュウリ
・ニガウリ
・イチゴ
・ズッキーニなど(※ウリ科)
3~4年以上休ませるべき野菜・ジャガイモ
・トマト
・ピーマン
・ナスなど(※特にナス科)
4~5年以上休ませるべき野菜・スイカ
・エンドウ
・ソラマメ
・サトイモ
・ゴボウなど

連作障害の対策

おいも

連作障害の予防は、土の健康状態を良くすることが基本です。

適切な肥料の管理を行う

肥料を過剰に投入した場合、土の中の栄養バランスが崩れたり、特定の野菜が育ちにくくなってしまう可能性があるため、作物にあった肥料を適切な量与えましょう。

有機物を投入することで土の健康状態をよくする

緑肥作物や堆肥などの有機物を土に投入することで、土の中の微生物を増やし、害虫の発生を抑制することができます。

土の消毒をする

夏場の気温が高い時期に、ビニールのマルチング資材を土の表面に張ることで、太陽の熱によって土の温度を上昇させ、病気のもとである菌や害虫を駆除することができます。

輪作(ブロックローテーション)

輪作とは、同じ場所で同じ作物(または同じ科の作物)を続けて栽培するのではなく、一定の期間を置いて異なる種類の作物を栽培することをいいます。連作障害は、同じ科の作物を同じ場所で作り続けることで発生しやすくなるため、毎年どの場所で何を栽培するのかを十分に計画しましょう。

コンパニオンプランツ

コンパニオンプランツとは、特定の2種類以上の植物を近距離に植えることで、生育がよくなったり、病害虫の被害が減るなどの良い効果があらわれる植物の組み合わせのことをいいます。コンパニオンプランツの例として、マリーゴールドはアブラムシを遠ざける効果があり、トマトと一緒に栽培すると効果的などがあります。

接ぎ木苗を活用する

接ぎ木苗(つぎきなえ)とは、根から下を病気や害虫の被害に強い品種にし、根から上を育てたい野菜をつなぎ合わせた苗のことをいいます。接ぎ木苗がある野菜は、ナスやピーマンなどの果菜類に限られますが、スペースが限られているなどの理由で連作をせざるを得ない場合は活用してみましょう。

おいも

接ぎ木苗はホームセンターでも販売しているよ!

【作付け計画に役立つ】相性がいい前後作

前作とは、もともと育てていた野菜のことで、その土に次に植える野菜を後作野菜といいます。

相性がいい野菜を植えることで、収穫量が増えるなどいい影響があります。

前作相性がいい後作
トマトブロッコリー・ハクサイ
レタスナス・エンドウ・ソラマメ・コマツナ 
キュウリキャベツ・レタス
トウモロコシダイコン・ハクサイ
サトイモソラマメ・エンドウ・シュンギク
エダマメニンジン
ハクサイトマト・ナス・トウモロコシ
キャベツトマト・ナス・トウモロコシ
ダイコンサツマイモ・サトイモ
ホウレンソウネギ類
リーフレタスキュウリ・カボチャ・スイカ
相性がいい前後作

【作付け計画に役立つ】相性が悪い前後作

前作とは、もともと育てていた野菜のことで、その土に次に植える野菜を後作野菜といいます。

植物は同じ時期に育てている植物だけではなく、その前後に育てる植物によっても、生育の状況が変化します。

ここでは、避けたほうがよい植物の組み合わせを解説します。

避けたほうがいい理由は、土の中の栄養分が偏ったり、病害虫が偏ることによる野菜の被害が生じる可能性が高くなるためです。

前作相性が悪い後作
キュウリニンジン・インゲン
ナスゴボウ
オクラゴボウ
ジャガイモトマト・ナス・ピーマン
キャベツジャガイモ・ゴマ
ネギダイコン・レタス
相性が悪い前後作
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