自分で野菜を作るとしたら、どのくらい虫や鳥の被害があるのか考えたことはありませんか?
野菜づくりの本を調べても、虫が苦手であったり、害虫の種類が多すぎて困っている人もいるかもしれません。
そこで、今回は、実際に初心者の私が、1年間市民農園の畑で野菜づくりをした中で、虫と鳥の被害がどのくらいあったのか、そのように対処したのかを解説します。
①アブラムシ
ガーデニングや畑の厄介者といえば、「アブラムシ」。アブラムシは、ストロー状の口をしていて、植物に口を刺して栄養を吸い取ります。そのストロー状の口で刺された植物は、アブラムシが持っているウイルスなどに感染し、植物が病気になることもあります。アブラムシは見つけ次第、すぐに対処しましょう。
【アブラムシの凄まじい繁殖力】
・特に春から夏にかけて爆発的に増える。
・アブラムシはメスが単独で幼虫を産むことができる。
・メス1匹で一生のうち最大90匹の子どもを産む。
・アブラムシは10日ほどで大人になり毎日5匹程度の幼虫を産む。
実際の被害と行った対処
1年間でアブラムシの被害を受けた野菜は、オクラ・ナス・サニーレタス・ブロッコリーの4種類でした。野菜ごとの被害と実際に行った対処について解説します。
オクラのアブラムシの被害
・5月上旬に6株の苗を植え付け。
・約1週間後に6株中2株のオクラの元気がなくなるが一時的だと思い放置。
・その数日後、2株のオクラがさらに元気がなくほぼ枯れている。
・よく観察すると「大量のアブラムシ」がついているのを発見!
・他のオクラも確認すると、アブラムシが点々とついていた。
市民農園で野菜づくりをして、虫の被害はこれが初めてでした。苗を植え付けたばかりは、新しい土になじむまで、多少植物の元気がなくなるものだと思い込んでいた私は、よく観察もせず、2週間近く放置してしまいました。そのため、放置した期間でアブラムシは爆増。結果、2株のオクラは枯れてしまい、抜くことになりました。残りの4株にも、アブラムシが点々とついていましたので、こちらはすぐに対処しました。植物をよく観察することの重要性を学びました。
オクラのアブラムシの対処
・アブラムシがびっしりついて枯れたオクラ2株は抜いて処分した。
・残りのオクラに2~3日おきに「やさお酢」をかけた。
・1~2週間程度でアブラムシはほぼいなくなった。
アブラムシが点々とついている残りの4株には、アブラムシの予防・退治効果が期待できるという「やさお酢」をかけました。すると、徐々にアブラムシの数は減っていき、オクラは元気を取り戻しました!「やさお酢」は、100%食品でできていて、収穫直前まで使える優れものです。
ナスのアブラムシ被害
・5月上旬に苗の植え付けを行い収穫も順調だった。
・8月中旬に一部のナスの元気がなくなる。
・観察すると葉の裏にアブラムシがびっしりついていた。
ナスは育てた野菜の中でも、かなり順調に収穫できていたのでショックでした!
ナスのアブラムシの対処
今回は、大量のアブラムシが発生してしまったので、片栗粉を使ったアブラムシ退治を試してみました。簡単に言うと、お湯に溶かした片栗粉を霧吹きでアブラムシにかけると、乾いた時に片栗粉の膜ができて、アブラムシが窒息して退治できるというものです。結果は、1回の噴霧でアブラムシがほぼいなくなりました!
サニーレタスのアブラムシ被害
私が育てていたサニーレタスは、アブラムシの被害を受けたのは、ごく一部でした。今回、私はサニーレタスをたくさん収穫したかったことと、種を買いすぎたことが重なり、かなり密集させて栽培しました。その結果、風通しが悪くなり、アブラムシがついてしまったのかなと考えています。
これが実際に写真です。間引きしながら育てれば密集は防げるかなと思っていましたが、想像以上の生長ぶりで、キツキツなサニーレタスになってしまいました。
具体的な被害は、密集したサニーレタスのうち、10株ほどに集団でアブラムシがついていました。
サニーレタスのアブラムシの対処
サニーレタスはたくさん育てていたため、「やさお酢」や「片栗粉」でのアブラムシ退治はしませんでした。
アブラムシがついたサニーレタスは株ごと抜いて処分しました。
ブロッコリーのアブラムシ被害
ブロッコリーは葉の裏や側花蕾(食べる部分)を中心に、ところどころにアブラムシがついていました。
ブロッコリーのアブラムシの対処
あまりにもびっしりアブラムシが付いている葉は切り落とし、「やさお酢」を1回だけブロッコリーの株の全体にかけました。
すると、1週間後には、アブラムシをほぼ見かけなくなりました。アブラムシが発生したのが、12月の寒い時期だったため、アブラムシ自体もそんなに活発ではなく、この程度の対処で済んだと思われます。
②アオムシ
アオムシは、モンシロチョウの幼虫で、体長は約4cmの緑色の芋虫のことです。モンシロチョウの産卵は春~初夏、真夏は減り、秋に増えます。そのため、アオムシは、4月〜6月と9月〜11月頃に発生しやすくなります。特にアブラナ科(キャベツ、大根、小松菜、ブロッコリーなど)の野菜を好んで食べます。アオムシは食欲旺盛で、身体が大きく成長すると、葉っぱを食べる量も多くなり、被害も大きくなります。私が1年間でアオムシの被害を受けた野菜は、ブロッコリーの1種類のみでした。
アオムシの実際の被害
私が育てていたブロッコリー。9月中旬に苗を植え付けし、その1週間後の様子です。
その2週間後、防虫ネットをかけていたにも関わらず、「アオムシ」にたくさん葉がたべられていました。防虫ネットをかけていても、虫はわずかな隙間を探して侵入してきます。
フンまでされてショックでした。一番被害の大きかった株は、ここまで食べつくされてしまいました。
そのまま育てていれば回復したかもしれませんが、アオムシが大量についていたので、株ごと抜いて処分しました。
アオムシの対処
防虫ネット
防虫ネットをかけましたが、虫食いの葉は増える一方でした。「虫は人間より賢いから、少しの隙間でも入ってくるんだ!」と、隣の畑のおじいさんが教えてくれました。教えを活かし、自分なりに隙間がないように防虫ネットを張り直しましたが、虫食いはおさまらず。おそらく、葉の影に隠れていたアオムシを防虫ネットで閉じ込めてしまったのだと思います。あきらめて防虫ネットは1か月もしないうちに外しました。
捕殺
アオムシの対処として一番効果的な方法は、見つけ次第つぶすことです。虫が苦手な方はピンセットなどで捕獲してつぶすか、害がないところへお引越しさせましょう。
11月にはいると、アオムシのピークもすぎ、1週間に1回、一株あたり1~2匹のアオムシを退治すれば、虫食いだらけになることはありませんでした。12月以降はアオムシの被害はありませんでした。
チャノホコリダ二
チャノホコリダニは、約0.2mmのたまご型のダニです。肉眼では確認できないといわれています。
チャノホコリダニの被害の様子
・葉裏が褐色をおびて光沢をもち、葉の縁が裏側へ曲がる。
・新芽では葉が開かなくなり、芯止まりとなる。
・花や実の数が減少し、開花しない蕾や奇形の花を生じる。
・果実ではヘタが灰色になる。また、ヘタの周辺に網目状の灰色の傷がつく。
・露地栽培では6~7月頃症状がみえはじめ、夏期以降、被害が増加する。
(愛知県のホームページ引用)
チャノホコリダ二の実際の被害
私の畑では、1年間でチャノホコリダ二の被害を受けたのは「ナス」のみでした。私は4種類のナスを1株ずつと、同じ品種のナスを2株の計6株のナスを育てました。はじめに被害を受けたナスは、「賀茂茄子」という京都が主な生産地のナスでした。
【ナスがチャノホコリダの被害にあった時の様子】
・7月頃から新芽が灰色になった。
・かろうじてできた実はヘタが灰色で実は傷がついた感じ。
・実が大きく育たず直径4.5cm程度で割れてしまう。(賀茂茄子の平均は直径10cm)
しかし、この頃は「チャノホコリダニ」とは気づかず、特に対処をしませんでした。気がつけば、両サイドのナスも新しい花と葉が付かなくなり、これはおかしいと思い、ようやく調べました。そこで、チャノホコリダニだろうという結論に至ったのです。チャノホコリダ二は対処が遅れると、周りの野菜にもチャノホコリダ二がつき、被害が拡大していきます。見つけ次第、早めの対処が必要です。
チャノホコリダ二の対処
・灰色の実や枝葉を取り除き、処分する(害虫被害にあった葉や茎は畑の外に持ち出すことが基本)
・ジョウロで真上から水をかけてチャノホコリダニを洗い流す
これらの対処法をこまめに行いましたが、賀茂なすは復活することはありませんでした。他の品種のナスは復活し、秋なすまで楽しむことができました。加茂なすは、京都が産地のとてもデリケートな品種だったようです。どんな品種かを調べずに苗を選んでしまいましたが、「適地適作」や品種ごとの特徴をおさえたうえで苗や種を選ぶことは重要なことだと学びました。
④ヨトウムシ
夜行性の「ガ」の幼虫のことをいいます。幼虫は、大きくなるとおもに夜に活動し、葉をたくさん食べる特徴があります。 夜の間に葉っぱを盗み食いすることから、「夜盗虫」と呼ばれています。ヨトウムシは、1.2.11.12月を除き、ほぼすべての時期に発生し、特に春先(4〜6月)に多くなる傾向があります。
ヨトウムシの実際の被害
私が実際に被害にあった野菜は、ほうれん草の1種類のみでした。
【ホウレンソウのヨトウムシの被害の様子】
・葉に虫食いがあるけれど周囲に虫が見つからない
ヨトウムシは、夜行性であり、夜間に葉を食べて、昼間は土の中にいます。虫食いの葉を見かけたときは、アオムシの被害であることが多いですが、アオムシやその他の虫が見つからないときは、ヨトウムシを疑いましょう。虫食いのあった野菜の株の周囲を1㎝ほどの深さを少し広めに指で掘ると、黒っぽいイモムシが出てくることがあります。これがヨトウムシです。
ヨトウムシの対処
ヨトウムシは見つけ次第、捕殺することが基本です。ヨトウムシの探し方は、植物の根の周りを1㎝ほどの深さで少し広めに掘ってみましょう。ヨトウムシが虫食いの犯人であれば、黒っぽいイモムシが土の中から出てきます。
⑤アズキノメイガ(フキノメイガ)
アズキノメイガの被害は、つるなしインゲンを育てているときに、被害にあいました。アズキノメイガは、インゲン、あずきなどを食べます。 インゲンではさやのなかにもぐり豆を食べてしまいます。 食べられたさやには穴があき、粉のようなものが周囲に付着するので被害に気付きやすいです。
アズキノメイガ実際の被害
アズキノメイガの被害は1年間で「インゲン」のみでした。インゲンのさやの中に入り込み、豆を食べます。
アズキノメイガ実際に行った対策
食べられてしまったさやは切って処分しました。
1年間の家庭菜園で実際にあった鳥の被害
次に、1年間、家庭菜園をする中で実際にあった鳥の被害について解説します。
結論は、1年間でナス3〜5個・トマト2.3個トリに食べられた!
実際にあった鳥の被害
◎5月3日にナス、トマトの苗を植えました。すくすくと成長し1ヶ月後の6月7日のこと。
ナスに異変が。1番はじめに収穫のするはずだったナスが、鳥についばまれていました。ちょうど畑に野菜が実り始めた時期なので、鳥たちも喜んでナスを食べたのでしょう。カラスの鳴き声がよく聞こえて、近くの電線にはカラスがスタンバイしていました…。
◎6月25日
トマトが青々としています。
◎7月7日
トマトがほんのり色づいてきました。
◎7月16日
写真をとっていませんでしたが、赤く熟したトマトが2.3個、鳥につつかれて地面に落ちていました。写真の下の真ん中あたりにかじられたトマトの実が写っていました!(見えづらいと思いますが…)
ショックだったので、その日のうちにネットを買って設置。
素人感満載の鳥よけネットの張り方です。本当は、苗の周りを囲むように支柱を立てて、そこにネットを設置するのが正しい方法です。ズボラな私はざっくりとネットをかけました。こんなネットのかけ方でしたが、トマトはその後はトリの被害はありませんでした。
◎7月27日
再びナスの被害が。トリにつつかれたのか、虫なのか判断が付きにくいところもありますが、ナスに親指の直径くらいの食べられた穴があいていました。写真に残しませんでしたが、畑の地面にもつつかれたような跡があるナスが2.3本落ちていました。ナスやトマトが鳥に食べられたのは、収穫の初期でした。収穫の初期は、周りの畑でも実っている野菜少なくて、カラスに狙われたのだと思われます。収穫の最盛期を迎えると、周りの畑にも美味しそうな野菜が実っているので、そちらの野菜をカラスが食べていたのかもしれません。
補足
今回、紹介した害虫や鳥の対処は、私が実践したごく一部の対処になります。作物や地域によっては、この対処が適さない可能性もあるため、ご注意ください。
さいごに
私が借りているのは10㎡(約5畳)の小さな畑ですが、それなりに虫対策に追われました。夫と話をして、化学的に合成された農薬を使わないで野菜を育てて見ようということになり、地道に手でとったり、片栗粉ややさお酢を撒くことで対処しました。小さい畑だからこそできた対策だと思います。
虫たちも生きているので、なるべく悪者にはしたくないですが、野菜を守るためにある程度仕方がないことだと感じました。害虫対策に一番効果的なのは、健康的な野菜を育てることです。野菜づくりには土づくりが大切と言われています。土づくりをしっかりし、発生してしまった虫は対処をしていくようにしましょう。