家庭菜園で使うマルチングってどんなものなの?
作物を育てる土をビニールやワラなどで覆うことをマルチングといい、雑草の予防や土の保護を目的に使われるよ!
マルチングにはさまざまな種類があり、何を使ったらいいか悩んでいませんか?結論からお伝えすると、初心者さんにおすすめのマルチング資材は「黒のビニールマルチ」です!
マルチング資材には、それぞれ特徴がありますが、黒のビニールマルチを使えば、家庭菜園で必要となるおおよその機能をカバーすることができます。しかし、その他のマルチングの種類や機能も気になりますよね!今回は、マルチング資材の種類や特徴、使用方法について解説します。
マルチングとは
マルチングとは、畑や花壇などの土の表面を、有機物やシートなどで覆うことをいいます。マルチングは雑草の抑制や土の乾燥の予防などを目的に行われます。
マルチングの効果
雑草の抑制
マルチング資材で土の表面を覆うことで、太陽の光を遮り、雑草の種が発芽するのを防ぎます。
土の保湿
マルチング資材が土の表面を覆うことで、水分の蒸発を抑制し、土の乾燥を防ぎます。
土の保温
マルチング資材で土の表面を覆うことによって、夏は土の温度上昇を抑え、冬は土壌の温度低下を抑えます。
土を豊かにする
有機物のマルチング資材(敷きワラやもみ殻など)は、微生物によって分解され、土壌に栄養分を供給します。
病害虫の被害を抑える
土の中には、作物の実や葉付着すると病気を引き起こす病原菌がいることがあります。土の表面を覆うことで、雨が降った時や水やりの時に泥水や土が作物に付着することを防ぐため、病害虫の発生を抑制します。
また、シルバーのマルチング資材は、アブラムシの発生を抑える働きがあります。アブラムシは光を嫌う性質があり、シルバーのマルチング資材に光が反射する素ことで、アブラムシが作物から逃げていきます。
土と肥料の保護
マルチング資材で土の表面を覆うことにより、風雨が直接土にあたるのを防ぎ、土や肥料分が畝や畑の外に流出するのを防ぎます。こうしてマルチング資材は土と土の栄養分を守る働きがあります。
マルチングのメリット
草むしりの頻度が減る
マルチングをすることで、太陽の光を遮り、雑草が生えにくくなるため、草むしりの手間も少なくて済みます。
水やりの頻度が減る
マルチングには保湿効果があるため、土の乾燥を防ぎ、水やりの頻度が減ります。
作物が健康的に育つ
マルチングは病害虫の被害を減らしたり、栄養分のある土が流れ出るのを防ぐため、作物が元気に育ちやすくなります。
大雨が降っても土が硬くなりにくい
雨が降った時に土が流れ出たり、土の中の栄養分が流れてしまうことを抑えることに加えて、大雨が降った場合でも、畝が崩れず、土も硬くなりにくい特徴があります。
マルチングのデメリット
マルチングを利用することで作物の管理が楽になりますが、問題点もあります。
お金がかかる
マルチング材は、雑草マルチなどの一部を除き、購入する必要があります。また、ビニールのマルチング材は、購入費用に加えて、貼り替えにも新しい資材を使用するため、費用もかかります。
はじめは手間がかかる
ビニールマルチ張る、敷きワラを敷くなど、マルチングシートを使い始める時は少し手間がかかります。しかし、マルチングを利用しない場合は、雑草の管理が大変になる、土が乾燥するため頻繁な水やりが必要になるなどのデメリットが大きいため、初めのひと手間をかけてマルチングをすることをおすすめします。
バークマルチや雑草マルチなどの有機物は、土の微生物によって徐々に分解されるため、必要に応じてマルチングを追加したり、虫が発生した場合は対処することも必要になります。
種類によっては害虫の発生する
バークチップやウッドチップなどの有機物をマルチング資材として利用した場合、虫のすみかとなり、害虫が発生する場合があります。特に、水やりのし過ぎによってジメジメした環境になると、害虫の被害が出やすい傾向があります。
肥料を与えにくい
土の表面が覆われているため、ビニールマルチの場合は、株元の穴から手を入れる、有機物マルチの場合は一時的にマルチング資材をよけて肥料をまくことが必要です。対策として、肥料用の小さな穴をマルチング資材に開けておくなどの対策があります。
マルチング資材の種類と特徴
マルチング資材には、「マルチシート」と「有機物マルチ」の2種類あります。初心者さんにオススメのマルチング資材は黒のビニールマルチです。
マルチシート
ビニールの素材でできたマルチング資材です。マルチシートを土の表面に敷いて利用します。一般的によく利用されるのは、黒のビニールマルチです。
黒マルチ
◎マルチング選びに迷ったら「黒マルチ」を購入すれば間違いなし!
◎オールシーズン利用できる。
・一般的に利用されるマルチング資材で、穴あきや穴なしなど種類が豊富。
・太陽の光を吸収するため保温効果が高い。
・遮光効果が高く雑草の予防になる。
・泥はねを抑えるため、病害虫の予防になる。
・夏場はマルチングに近い作物が焼けることがあるので注意する。
・オールシーズン利用できる。
シルバーマルチ
◎光を利用する特徴から害虫予防に役立つ。
△地温を下げるため使用は夏に限定される。
△値段が高い。
・太陽の光を反射するため、光を嫌う虫が寄ってこないため、害虫の予防効果がある。(特にアブラムシなど)
・雑草を抑える効果がある。
・太陽の光を反射し地温を下げるため、夏の利用が向く。
・泥はねを抑えるため、病害虫の予防になる。
・値段が高い。
透明マルチ
◎太陽の光を通しやすいため、地温が上昇しやすい。
△光を通すため雑草の予防ができず、冬場~春先の使用に限定される。
・太陽の光が土に伝わりやすいため、保温効果がある。
・光を通すため、雑草の種も発芽するため、雑草予防の効果はない。
・泥はねを抑えるため、病害虫の予防になる。
・冬場~春先に地温を上げて作物の生育を助ける働きがある。
有機物マルチ
有機物マルチは、植物の残渣や堆肥などの有機物を土の表面に敷き詰める方法です。有機物は土の中の微生物のエサになるため、土を豊かにし、環境にも優しい利点がります。
しかし、風通しの悪い場所で湿度が高くなるなど、管理が悪いと、病害虫の被害にあう可能性もあります。
有機マルチは、畑にあるものを無駄なく利用することができます。例えば、畝にわらや刈草を敷いてておくと 土が硬くならず、土の湿度と温度も安定し、野菜の成長が促されます。
雨が降った時の泥ハネも抑えられて病気予防にも役立つなど、マルチシート同様の効果が得られます。
また、有機マルチの魅力は土壌微生物のエサになることです。 有機物は次第に分解されて土にかえるため、土は肥沃さを増します。
ワラ
・イネ科の植物を刈り取って乾燥させた藁(わら)をマルチング資材として利用する方法。
・「敷きワラ」や「ワラマルチ」ともよばれる。
・ホームセンターで購入することもできるが、スペースがあれば、緑肥として畑で育てて刈り取ってワラマルチにしてもよい。
雑草
・「雑草マルチ」は雑草を刈り取ってマルチング資材に利用することができる。
・「枯草マルチ」か刈り取った雑草が朽ちてきたころにマルチング資材として利用する方法。
・雑草をマルチングに利用する場合は、種ができるまえに刈り取ることが重要。そうしないと畑が草だらけになってしまう。
・雑草マルチは貸し農園など、利用している施設では禁止している場所もあるため、各施設のルールに従う必要がある。
もみ殻
・お米を包んでいる殻をもみ殻という。
・もみ殻はホームセンターでも販売しているが、場所によっては精米所などからもらうこともできる。
ウッドチップやバーク
・ウッドチップは木を細かくしてつくられたマルチング資材のことをいう。
・バークとは樹皮のことで、樹皮からつくられたマルチング資材をバークマルチという。
マルチングの敷き方
マルチングを敷く前に、まずは「土づくり」や「畝立て」を済ませておきましょう。
マルチングはビニールマルチと有機マルチがあります。
それぞれ、敷き方が異なるので、2つに分けて解説します。
マルチシートの敷き方
マルチシートは風の少ない日中に敷くのがおすすめです。風が強いと、マルチシートが風でなびいてしまい、作業が大変です。
【事前に準備しておくこと】
・石灰や堆肥や元肥を混ぜておき、土づくりを行い、畝立てまで済ませておく。
マルチシートを敷くのに必要なもの
・マルチシート
・クワ
・マルチ資材の穴あけ器かハサミ
※あると便利なもの
・レーキ(畝を平らにならす。クワの刃の側面で代用してもよい)
・マルチ押さえ(マルチシートを張るときに仮止めとして利用する。ない場合は土をかぶせて代用してもよい)
マルチシートを敷く手順
- 畝をクワやレーキなどで平らにならす
- マルチシートのすそを埋めるための溝を畝の周りに作る。(クワで掘る)
- 畝の端から20㎝程度マルチシートを余分に出して、マルチ押さえで固定する。(土をかけて固定してもよい)
- マルチシートを反対側の畝の端まで伸ばして、同様に畝より20㎝余分に残してビニールマルチを切る。
- マルチシートになるべくしわがないよう、ピンと引っ張って仮止めするか土をかけて固定する。
- 畝をまたぐように立ち、マルチシートの両サイドを足でピンと伸ばすように張りながら、両サイドにクワで土をかぶせて固定する。
- 両サイドとも土で固定したら、マルチシートが浮かないように畝の周りを足で土を踏み固める。
- 穴が開いていないマルチシートの場合は、作物に適した間隔で、専用の穴あけ器かハサミを使って穴をあける。
【マルチシートの注意点】
・マルチを貼る際はなるべくシワなく張るがコツ。
→風にあおられてマルチシートが野菜にあたってしまい、野菜が傷つく。
→マルチングシートに水溜まりができて病気の原因になる。
有機マルチの敷き方
【事前に準備しておくこと】
・石灰や堆肥や元肥を混ぜておき、土づくりを行い、畝立てまで済ませておく。
有機マルチを敷くのに必要なもの
・有機マルチのみ
有機マルチを敷く手順
- ワラやもみ殻などの有機マルチの資材を用意する。
- 厚みを均一にして株の根元も覆うように敷き詰める。
【有機マルチを敷く注意点】
・厚すぎないように注意する→通気性が悪くなり、病害虫の被害や作物の発育に悪影響を及ぼす可能性がある。
・定期的に補充する→有機物は微生物によって分解される。風によって飛ばされる可能性もある。
・土の状態に合わせて有機マルチを選ぶ→通気性の悪い土には、通気性のよい素材を利用する。
・病害虫の発生に注意する→有機マルチを使用して通気性の悪さなどから病害虫が発生した場合は、マルチング資材を再検討する必要がある。