家庭菜園で大事に育てている野菜の苗が、ヒョロヒョロと細長く育ってしまったことはありませんか?
また、ホームセンターでセール品になっている細長くの伸びきってしまった苗を見かけたことはありませんか?
その苗は徒長(とちょう)しているかもしれません!
徒長とは、日照不足などのさまざまな要因によって、植物が細長く育ってしまい、病気にかかったり折れたりしやすい弱い苗になることをいいます。
この記事では、徒長した苗の特徴やデメリット原因や対策について解説します。
徒長(とちょう)とは
徒長とは、植物の茎や枝が必要以上に間延びしてしまうことをいいます。
茎が細くてひょろひょろと伸びた状態です。
正常に育った植物と比べて病気に弱く、害虫に対する抵抗性も弱く、暑さ寒さなど、環境の変化も受けやすく、花も咲きにくいため、収穫量が減ってしまいます。
また、細くて長いため、風などの影響で折れやすい特徴もあります。
徒長した苗は、病気や環境の変化に弱いです。
徒長苗のデメリット
徒長した苗を育てることはできないの?
徒長した苗も育てることはできますが、次のようなデメリットがあります。
病害虫に弱い
徒長した植物は身体が弱く、病害虫の被害を受けやすいです。特に、カビや菌類の被害を受けやすくなります。
倒れやすい
茎や枝がヒョロヒョロと細く長いため、風などで倒れやすく折れやすいです。
収穫量が減る
徒長苗は、花や実をつけるためのエネルギーが茎や枝の成長に奪われてしまい、花が付きにくくなります。花が咲かないと実がつかないため収穫量が減る原因にもなります。
味や食感が劣る
徒長苗は、水分が多く、味や食感が劣ることがあります。
【体験談】
私が畑をはじめて1年目のこと。
一部のオクラの苗がアブラムシの被害で枯れてしまいました。
そこで、枯れてしまったオクラの代わりにミニトマトの苗を購入することにしました。この時、ミニトマトの植え付けの適期を2週間ほど過ぎており、ホームセンターには、ヒョロヒョロ細長い、徒長した苗しか在庫がなく、仕方なく購入しました。すると、収穫量が驚くほど少なくなってしまいました。
徒長苗は収穫量が下がるということを身をもって感じました。
徒長した植物の見た目と特徴
徒長した苗は弱々しい見た目をしています。
形の特徴
- 茎や枝が異常に長い
- 茎や枝が細い
- 葉と葉の間隔が広い
- 葉が薄い
- 全体的にひょろひょろしている
色の特徴
- 葉の色が薄い
- 茎や枝の色が薄い
その他
- 根が弱い
- 病害虫に感染しやすい
- 倒れやすい
- 実がつきにくい
- 味や食感が劣る
徒長した苗は、収穫量が減るなどのデメリットがあります。
徒長した苗の特徴を知って、苗選びに活かしましょう!
徒長の原因
日照不足
植物は日光を浴びることで光合成を行い、茎や枝を丈夫に成長させます。日照不足になると、日光を求めて茎や枝が伸びてしまい、徒長が起こります。
特に、日当たりの悪い場所で育てている植物や、冬など日照時間の短い時期は徒長しやすいです。
高温
温度が高すぎると、植物の細胞分裂が活発になり、徒長しやすくなります。特に、夜間の温度が高いと徒長しやすくなります。
窒素過多
肥料を与えすぎ(特に窒素過多)により、植物の体内の水分量が増え、細胞が膨張しやすくなり、徒長が起こります。
水やり過多
水やりが多すぎると植物の体内が水浸しになり、水膨れをするイメージで徒長しやすくなります。
密植している
作物同士に十分なスペースがなく、ギュウギュウ詰めの状態を密植(みっしょく)といいます。密植することで、植物同士がお互い負けないように競い合って上へ上へと伸びていきます。しかし、太さがついていかず、ヒョロヒョロと細長い徒長した状態になってしまいます。カイワレダイコンをイメージすると分かりやすいです。
また、密植により、日当たりや風通しが悪くなり、さらに徒長しやすい環境になるといえます。
風通しが悪い環境で育てている
人間の身体にホルモンがあるように、植物にも植物ホルモンが存在します。
植物は、適度な風を受けることによって、この植物ホルモンを分泌し、エチレンというものか発生します。このエチレンは、植物が縦に伸びることを抑制し、横に太くする特徴を持っています。
植物は適度な風を受けることで、ホルモンが分泌され、エチレンによって太く丈夫な株へと育っていきます。
苗を購入したら、こうした環境にならないように気を付けながら育てよう!
徒長の対策
日当たりの良い場所で育てる
日光不足は徒長の主な原因です。植物は日光を浴びることで光合成を行い、茎や枝を丈夫に成長させます。日当たりの良い場所で育てることで、徒長を防ぐことができます。
適切な温度で育てる
高温も徒長の原因となります。植物の種類によって、適した温度は異なります。徒長を防ぐためには、植物の種類に合った温度で育てることが大切です。
肥料は適切な量を与える
肥料を与えすぎる(特に窒素過多)と、植物体内の水分量が増え、細胞が膨張しやすくなり、徒長が起こります。肥料は適切な量を与えるようにしましょう。
適切な水やりをする
水やりが多すぎると、土中の酸素量が少なくなり、植物は徒長しやすくなります。土の表面が乾いたら水をやるようにしましょう。
風通しの良い場所で育てる
風通しが悪いと、植物体内の水分が蒸発しにくくなり、徒長しやすくなります。風通しの良い場所で育てることで、徒長を防ぐことができます。
株間を適切に保つ
株間が狭いと、植物同士が日光を遮り合い、徒長しやすくなります。株間を適切に保つことで、徒長を防ぐことができます。
徒長した苗は購入しない
苗を購入する場合は、徒長した苗は避けましょう。徒長した苗は、病気や害虫の被害を受けやすかったり、風で折れやすく傷みやすかったりするため、収穫量が減ってしまう可能性があります。
徒長した苗は避けて良い苗を選ぶことが大切です。
良い苗の選び方はこちら⇩の記事にまとめました。
徒長したときの対処方法
日当たりの良い場所に移動する
徒長してしまった苗は、日当たりの良い場所に移動することで、徒長を抑制することができます。日光を十分に浴びることで、茎や枝が丈夫になり、徒長が改善する場合もあります。
間引きをする
徒長した苗が密集している場合は、間引きをして株間を広くしましょう。株間が広い方が、それぞれの苗が日光を十分に浴びることができ、徒長を抑制することができます。
摘芯をする
徒長した苗の先端を摘み取ることを摘芯(てきしん)といいます。摘芯をすることで、脇芽の成長を促し、徒長を抑制することができます。摘芯することで、植物全体にバランスよく栄養が行き渡り、徒長が改善する場合があります。
支柱を立てる
徒長した苗は倒れやすいので、支柱を立てて支えてあげましょう。支柱を立てることで、苗が倒れるのを防ぎ、苗が傷むのを防ぎます。
薬剤を使用する
徒長抑制剤などの薬剤を使用することで、徒長を抑えることができます。ただし、薬剤は環境や植物、畑に負荷を与えることもあるため、最終手段として利用することをおすすめします。