【3つの土の質】畑での野菜づくりに役立つ砂質・壌土・粘土質の土の特徴と対処法を解説

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畑での野菜づくりに挑戦したことのある人は、壌土や砂質や粘土質などといった土の質を気にしたことはありませんか?おいしい野菜を育てるためには、土について知ることが重要であり、自分の畑の土について知っておくことも重要です。今回は、初心者さんでも分かりやすいよう、畑の土の質の特徴について解説します。

【この記事のポイント】
・畑の土の質は「砂質」「壌土」「粘土質」3つに分けられる。
・「砂質」は水はけがよく乾燥しやすいが栄養分を蓄える力が弱い土のことをいう。
・「壌土」はもっとも野菜が育ちやすい土のことをいう。
・「粘土質」は水はけが悪いが栄養分を蓄える力がある土のことをいう。
・自分の畑の土質は簡単に調べることができ、正しい対処をすれば、壌土の畑に近づけることができる。

目次

いい土の3つの条件

  • 水持ちと水はけがよい
  • 通気性がよい
  • 酸度が適度であること

土の質は「砂質」「壌土」「粘土質」に分けられる

  • 砂質の土:砂が多く粘土が少ない
  • 壌土:砂質と粘土質の中間
  • 粘土質の土:粘土が多く砂が多い

多くの野菜に適している土は「壌土(じょうど)」になります。

自分の畑の土の質を知る方法

自分の畑の土質を知る簡単な方法

自分の畑や庭の土の性質が、「砂質」「壌土」「粘土質」のどれに近いのかは、簡単に調べることができます。

必要なものは、自分の手と、適度に湿った畑の土だけです。土の質を調べるための方法と手順を以下に記します。

【手順】

①適度な湿り気のある土をこよりをつくるイメージで指でこねる
②その土がどのような状態になったか観察する

・粘土質→ こねると細い「こより」になる
・壌土→こねると太い棒になる
・砂質→こねてもバラバラになる

砂質の畑について

・砂質の畑では粘土が少ないため、団粒構造はあまり発達しない。
・堆肥などの有機物を多めに継続施用して腐植を増やし、水持ちと保肥力を高める土作りをする。
・肥料は一度にではなく、少量ずつ回数を多く与えるのが砂質の畑で野菜を作る際のコツ。

砂質の畑の特徴

  • サラサラ、ザラザラした感触で白っぽい
  • 大雨が降ってもさっと水が引く
  • ざらついた土で隙間が多く、水はけと通気性はいいが、水持ちと保肥力は低
  • ジャガイモ、サツマイモ、ニンジン、スイカなど湿気を嫌う野菜がよく育つ
  • 粘土が少ないため、団粒化が進みにくいため有機物の継続施肥が必要

砂質の畑のメリット

・水はけがいい:砂質の土は、砂粒が大きいため、隙間が多く水はけがいい特徴があります。そのため、植物の根に十分な酸素が供給され、水たまりによる根腐れを防ぐことができます。

・通気性がいい:砂質の土は砂粒と砂粒の間にたくさんの隙間があるため、隙間に空気を含むことができるため、通気性がいい土といえます。

・作物の生長が早い:砂質の土は熱を吸収しやすい性質があるため、土が温まりやすく、作物の生長が早くなります。特に早春や寒冷地でも栽培に適しています。

・植物の根が張りやすい:砂質の土は、砂粒と砂粒の間に適度な隙間ができ、その隙間は根が自由に生長できる空間になり、植物がぐんぐん育ちます。

・微生物の活動が活発:砂質の土は砂粒と砂粒の間に空気が含まれるため通気性がいい特徴があります。微生物の活動に必要な酸素が供給されるため、有機物の分解が進みやすく、植物にとっての栄養分を作り出すことで、植物が発育しやすくなります。

砂質の畑のデメリット

・乾燥しやすい:通気性と水はけがいい特徴があり乾燥被害を受けやすいです。

・養分が水に流されやすい:水はけがいいため、養分が水とともに流出しやすく、肥料持ちが悪いです。

・団粒構造ができにくい:砂質の土は粘土が少ない特徴があるため、良い土とされている土の団粒化ができにくいいです。

・保肥力が低い:植物の栄養分のもとになる有機物を施しても、早く分解されてしまうため、長期的に養分を保持する力が弱いといえます。

砂質の畑に向いている野菜

砂質の畑で良く育つ野菜は、主に乾燥を好む野菜です。以下に野菜の例を挙げます。

  • トマト
  • サツマイモ
  • スイカ
  • ジャガイモ
  • トウモロコシ
  • ダイコン
  • タマネギ
  • ネギ

砂質の畑の土作り

水持ちが悪いため平畝にし有機物でマルチングをする

水はけが良くて水持ちが悪いため土が乾きやすいので、野菜作りは平畝が基本になります。畝とは、野菜を育てるためのベッドの役割を果たし、畑に細長く盛られた土のことをいいます。この畝をほぼ作らず、地面と平らな状態で野菜を育てることで、土の乾燥を防ぎます。畝にはマルチングとして、有機物である枯れ草やわらを敷いておくことで、より土の乾燥を防ぐことができます。

有機物の分解が早く肥料持ちも悪いため、分解されにくい堆肥を投入する

砂質の畑の難点は保肥力の低さです。堆肥を施しても分解するスピードが早く、元肥を施して分解が早い上、雨が降ると養分が流れてしまうので、追肥中心の育て方が向いています。有機物の分解が早いことから、腐植(有機物が分解されてできた黒褐色のもの)がたまりにくく 粘土が少ないこともあって、団粒構造を作るのは難しいです。堆肥は分解に時間がかかる完熟バーク堆肥や落ち葉堆肥を利用します。その後はなるべく土を耕やすことはせず、少量ずつ追肥をしながら野菜づくりを続けます。

・腐植の量を維持して、保水力と保肥力をよくするのが砂質の畑作りのポイントです。そのために、有機物がすぐに分解される環境を避ける必要があります。有機物は分解に時間がかかるものを投入しましょう。
・耕すと有機物の消失が激しいので耕すのは最小限しましょう。

壌土の畑について

・中間的な壌土の畑は野菜作りに向いている。
・堆肥を継続的に施肥して腐植物を増やし、土の団粒構造を維持する。
・水はけがいい畑なら高さのない平畝を、そうではなければ高めの畝を作る。
・ほとんどの野菜がよく育つ。

壌土の畑の特徴

  • 砂質と粘土質の中間的な土。
  • 水持ち水はけ、通気性、保肥力ともにほどほどによくたいていの野菜はよく育つ。
  • 壌土の畑=団粒構造の畑と考えてよい。
  • 堆肥の継続施肥で団粒構造を維持するとよい。

団粒構造の土の特徴

  • 土壌の粒子、空気、水分量のバランスがとれている
  • 握ると塊になり、指でほぐすと程よく崩れるのが特徴

団粒構造とは、土同士の小さい粒子が、微生物の活動によって分泌されるフンや粘液などが接着剤の役割を果たし、小さな団子状の土の粒子の塊ができた土のことをいいます。団粒構造の土は、土の団子と団子の間に適度な空間が生まれるために、土はフカフカになり、隙間には、植物が必要とする酸素や適度な水を保つことができます。また、酸素が土に豊富に含まれるため、微生物の働きも活発になり、野菜づくりをするのに適した環境になります。壌土の土は団粒構造を形成しているとも言えます。

壌土の畑のメリット

  • 水持ち、水はけ、通気性、保肥力に優れている。
  • 土が柔らかく耕しやすい。
  • 団粒構造が形成されやすい。
  • 野菜の育ちがいい。

壌土の畑のデメリット

  • 特になし

壌土の畑に向いている野菜

  • ほぼすべての野菜が作れる

土壌の畑の土作り

土壌の畑は粘土と砂がほどほどに混ざっていて、団粒構造が作りやすいです。水はけと水持ちがよく野菜を育てるのにとても適していて、ほとんどの野菜がよく育ちます。

土が柔らかく酸素が入りやすいので、一度奥深くの硬い層まで耕やせば、あとは作土層の深さ (15〜18cm程度)を鍬で耕すだけで十分です。

粘土質の畑について

・粘土質の畑は団粒構造が発達しやすいのが特徴。
・接着剤の役割や果たす 粘土が豊富に含まれているため、保肥力が高く、養分豊富な土なので、堆肥や有機質肥料は少なめの量で十分。
・特に有機質肥料の与えすぎには注意する。
・水はけが悪いため高めの畝を立てることで水はけを改善させればトマトやスイカなど湿気を嫌う野菜もに育てることができる。

粘土質の畑の特徴

  • 水持ちと保肥力が高いのが大きな特徴で美味しい野菜が取れる。
  • 湿気を好む野菜(里芋や生姜など)が育てやすい。
  • 水はけが悪く、雨が降ると土がヌルヌルし、乾くとカチカチに固まりひび割れる。
  • 湿った土をこねると細いこよりができる。
  • 粘土が多く、粘り気のある土隙間が少ないため、水はけと通気性が悪い。
  • 適切な対処をすれば団粒化はしやすい。

粘土質の畑のメリット

  • 粘土が多く、保水力と保力が高い。
  • 土壌改良をし、土に隙間を作れば味のいい野菜が取れる畑になる。

粘土質の畑のデメリット

  • 土が重く耕すには力が必要。
  • 水はけが悪いため、水が溜まって、土の中に空気が不足すると野菜が根腐れする場合がある。

粘土質の畑に向いている野菜

  • ナス
  • サトイモ
  • ショウガ

粘土質の畑の土作り

水はけが悪く固まりやすいのが難点になります。粘土質の畑では土を握ってやや崩れる程度の水分量の時に耕すのがポイントです。決して雨が降った後の水分が多い時にに耕さないことが重要です。 雨が降った後に耕してしまうと逆に土を固めてしまい、野菜の栽培ができなくなる可能性があります。耕す時は晴れが続く日を選び、団粒構造のある土を目指します。

また水はけが良くなるよう高畝にするのもポイント。栄養分が多く含まれているので、うまくいけば美味しい野菜が作れます。

◎もみ殻を使った水はけの改善法

畑にもみ殻をすき込むことで、水はけと通気性を改善することができます。 もみ殻は殻が硬く、軽くて空気をたっぷり含んでいます。緻密な粘土質の土に隙間を作ることができ、物理的に水はけと通気性を良くします。もみ殻堆肥にも同じの効果が期待できます。

すべての畑に共通すること

ここまで、砂質、壌土、粘土質に分けて特徴を解説しました。ここでは、それぞれの畑をよりよくするために共通して取り組めるポイントを解説します。

畝と畝の間になる通路でも土作りができる

畝と畝の間にある通路でも土作りをすることができます。具体的な方法としては、枯れ草落ち葉などを通路にしいておくことや、通路に穴を掘って、野菜の残渣や枯れ葉などを埋めておくことで、土壌微生物によって分解されやがて養分となります。

通路や空きスペースが十分にある場合は、豆科やイネ科の緑肥作物を育てるのもおすすめです。イネ科の植物は細かい根をたくさんはるため、土は根によって自然に耕されます。
マメ科の植物は土の栄養分を豊かにします。 刈り取った部分は有機マルチとして植物の根元に敷いておくと、肥料にもなります。

排水の工夫をする

粘土質の畑に多いのが、雨が降ると水が溜まってなかなか引かない畑です。また、一見水はけが良さそうなざらついた 砂質の畑でも地下水が高くて、ちょっと掘るだけで水が染み出してくる畑もあります。水浸しの畑では野菜が根腐れを起こしやすく、土壌微生物の活性も下がります。

水はけ改善の基本は高い畝にすることですが、通路に水が溜まってどうしようもない畑では深さ20cmぐらいの溝を掘っておき、雨が降った時に水が畑の外へ流れてるように工夫します。このように作った排水路を明渠(めいきょ)と呼びます。雨上がりに畑の水たまりを観察して、どの方向にめいきょを作ったらいいか検討しましょう。

まとめ

まずは自分の畑の土質を調べます。

土質の見分け方は、適度に湿った土を「こより」を作るようにこねる。こよりができなければ「砂質」、太いこよりができれば「壌土」、細いこよりができれば「粘土質」になる。

野菜づくりに適した土質は「壌土」です。

「砂質」と「粘土質」を壌土に近づけるために、適切な対処を行うことがいい土を作るポイントとなり、おいしい野菜の収穫につながります。

「砂質」は、バーク堆肥や腐葉土などの分解に時間がかかる堆肥を多めに入れる。肥料の持ちはよくないため、少しずつ追肥することがポイント。「粘土質」は栄養分は豊富だが、水はけが悪いのが難点なので、水はけを改善させるために畝を高めに作り、もみ殻などの通気性がよくなる資材を入れる。

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