【家庭菜園の堆肥】土づくりの基本となる堆肥の役割と種類を解説!

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家庭菜園を始めようとして、土づくりの段階で、堆肥って何だろう…とつまづいていませんか?堆肥は簡単にいうと、野菜を育てるための土を健康にするための資材です。肥料は、土を健康にするよりも、直接野菜に栄養分を届けるイメージになりますが、堆肥は土自体をよくするといったイメージです。

今回は、そんな堆肥について種類や特徴をまとめました。

結論は
・堆肥には、肥料分がの多い動物性堆肥と、繊維質が多い植物性堆肥がある。
・堆肥は、野菜の性質や土の性質によって使い分ける必要がある。
・堆肥は、土の団粒化を促進する働きがある。

【参考文献】野菜別土づくりと栽培テクニック

目次

堆肥とは

落ち葉や雑草などの植物性有機物や、牛ふんや鶏ふんなどの動物性有機物を、一定の期間発酵させてできたもので、土をよくする資材のことです。

おいも

堆肥は野菜づくりに欠かせない土を健康にするよ!

堆肥を畑に施すことで、堆肥をエサにする微生物の活動が活発になります。すると、土の団粒化が進み、水はけ・水もち・通気性のいいフカフカな土へと変わっていきます。

堆肥は、肥料に比べて養分は少ないですが、長期に渡って野菜に養分を供給します。

堆肥はいい土をつくるために用いる資材!

植物性堆肥と植物性堆肥

堆肥には植物質堆肥と動物質堆肥があり、いずれも得られる効果は、水はけや保水性を向上させる土作り効果と、養分を野菜に供給する肥料効果があります。

チッ素、リン酸、カリウム、マグネシウム、カルシウムのほか、野菜が必要な微量ミネラルを豊富に含んでいますが、その効能は堆肥の種類によって差があります。

堆肥にはいくつか種類があり、野菜の性質や土質に合わせて使い分けると効果的です。

・植物性堆肥:繊維質が多い
・動物性堆肥:肥料分が多い

植物性堆肥

・腐葉土、草質堆肥、バーク堆肥などがある。
・繊維質が多いのが特徴で分解に時間がかかる。
・窒素が少なめで炭素を多く含んでいる。
・キュウリなどのケイ酸を必要とする野菜はケイ酸を多く含む草質堆肥が向いている。
・草質堆肥が手に入らないときは、腐葉土で代用してもいい。
・有機物の分解スピードが速い砂質の畑には、分解に時間がかかる樹皮でできたバーク堆肥を使用すると、畑の水持ちをよくすることができる。

動物性堆肥

・牛ふん堆肥や鶏ふん堆肥などがある。
・植物性よりも養分を多く含む。
・生育初期に養分を必要とする野菜には、牛ふん堆肥を使うのがおすすめ。
・窒素が多い。
・そのままでは腐敗しやすいため、ワラやもみ殻などの炭素が豊富な植物質の有機物を副資材として加えて作られている。

植物性堆肥は、繊維質が多いが、栄養分が少ないため、土づくり効果がより高い。
動物性堆肥は、栄養分が多く、一部の堆肥は肥料の目的としても利用できる。

植物性堆肥の種類

腐葉土

・落ち葉で作る堆肥。
・肥料効果は長く続くが効き目は緩やか。
・ミネラルも豊富で様々な野菜に向く。
・栄養分はほとんど含まれていない。
・微生物のエサになる。

バーク堆肥

・樹皮(バーク)が主原料の堆肥。
・樹皮鶏ふんなどを加えて堆肥化したもの。
・ゆっくり分解するので有機物の少ない砂質土壌を改良するのに効果を発揮する。

草質堆肥

・雑草やワラ、野菜の残渣で作る堆肥。
・ケイ酸を多く含んでいる。
・手に入らない時は腐葉土を使うといい。

もみ殻堆肥

・もみ殻に鶏ふんなどを加えて堆肥化したもの。
・もみ殻堆肥を使うと土に隙間ができて水はけや通気性が改善する。
・粘土質土壌の改良などに効果を発揮する。

動物性堆肥の種類

牛ふん堆肥

・牛ふんに植物質の副資材を加えて堆肥化
・穏やかな肥料効果と高い土作り効果を持つ
・バランスがいい堆肥
・牛はワラや草を食べるため、食物繊維が豊富。 
・肥料分も多く、初期生育を促したい野菜に向く。

発酵鶏ふん

・鶏ふんに植物質の副資材を加えて堆肥化したもの。
・ 鶏ふんは肥料成分が多く、即効性があるため、肥料効果を目的に利用する。
・ 窒素リン酸とカルシウムが豊富。

豚ぷん堆肥

・豚ぷんに植物質の副資材を加えて堆肥化したもの。
・肥料成分が割と豊富なので施しすぎに注意する。
・特にぼかし肥料などを併用する場合は分量を抑えて肥料過多を防ぐこと。

馬ふん堆肥

・ワラや樹皮など植物質の副資材を加えて堆肥化したもの。
・食物繊維、炭素が豊富に含まれているため、土作り効果が高いのが特徴。
・肥料効果は低いのでぼかし肥料などを併用する。

堆肥の完熟度

堆肥は有機物を積み上げて発酵を促進させるために米ぬかなどの肥料分を加えて混ぜ水をかけて仕込みます。

微生物が有機物を分解し始め、約3週間までに第1次分解を終えるのですが、この時点ではまだ「未熟」の状態。 有機物に含まれるたんぱく質などが分解されてアンモニアが発生し、悪臭を放ちます。 堆肥としてはまだ使用できません。

1次分解を終えると2次分解が始まります。仕込みから3ヶ月ほどで2次分解が終わり、堆肥特有の香りがします。 成熟度としては「中熟」ですが、畑で使用することができます。

3ヶ月以上成熟させると堆肥特有の匂いは消えて「完熟」の状態になります。 1年以上経つと分解が進みすぎ、畑に施しても微生物の餌にはなりません。

市販されている 多くの「完熟堆肥」が第2次分解を終えたぐらいの「中熟」なので、野菜作りには一番使いやすいです。 必ず完熟と書かれたものを購入することが大切です。 施肥後4週間以上放置すると土の中で完熟状態になり、微生物層が安定します。

堆肥で変わる土の性質

土壌微生物のエサになる堆肥は、土に混ぜると土壌微生物が増殖して土の団粒化が進み、穏やかに野菜に養分が供給される土になります。すると、野菜が健康に育つ畑へと変わります。

堆肥によって以下のように土の性質にいい変化が現れます。

土の三相のバランスをよくする

土は固体部分と隙間でできています。

固体部分を固相と言います。
隙間には空気と水が存在し、空気の部分を気相、水の部分を液相といいます。

野菜にとって固相と隙間の割合は体積比で大体1対1が理想とされます。 そして隙間に存在する空気と水は半々の状態が好ましくこの環境でではよく発達し、野菜を育てる有用な土壌微生物も活発に活動します。

固相の量は畑によって決まっていて、変化はしないが、雨が多い時期には液相が増えて気相が減ります。逆に雨が少ない時期は液相が減って気相が増えます。

加湿状態では根の発達が妨げられ、病気や害虫の被害が多くなり、逆に乾燥状態では、野菜の根は水と養分を吸収しづらく、成長が鈍ります。

堆肥を施して団粒化を進めれば、水持ちと水はけの良い土となり、土の三層バランスが取れた理想的な土が出来上がります。

堆肥を使うと土壌の酸度が中性に近づく

ほとんどの野菜は酸度(pH)6.0から6.5の弱酸性の土壌でよく育ちます。

ローム土や黒ボク土など火山灰土で何も野菜を作っていない土地は酸性を示します。

新規に畑を作る場合は土壌酸度を調べ、pHが低くて酸性土壌だとわかったら有機石灰を利用して中和するようにしましょう。

石灰資材を投入しすぎると、畑がアルカリ性に傾くことがあるため、有機石灰のすき込みは初回だけで十分なことも。
堆肥という有機質肥料を用いて野菜作りを始めると、土の酸度は自然に安定していくといわれています。

野菜は土壌酸度を自分好みに変える力を持っています。根の周りに共生する微生物がちょうどいい酸度に調整するため、いい土であれば、石灰資材を投入して、土の酸度を調整する手間もなくなります。

堆肥を使うと保肥力が高くなる

野菜の健全な成長には、土の保肥力大きさも大切です。
保肥力の大小に関わるのは土に含まれる粘土の量です。 マイナス電荷の粘土は陽イオンで存在する、チッ素やリン酸などの養分を電気的に吸着する働きもあります。

粘土が多い土であれば、上記で述べた理由により、保肥力は高くなります。
有機物が土壌微生物に分解されてできた腐植も粘土同様に養分を電気的に吸着する働きもあります。

また、有機物を分解した土壌微生物の体は、チッソを始めとした養分も含まれます。この養分は、微生物が死んだ後に土の中に放出されて土の栄養になります。

粘土含有量は畑によって決まっています。 そこで、堆肥などの有機物を施して、土の団粒化を進めていくことが保肥力が大きい、肥沃の土作りの鍵となるのです。

まとめ

・堆肥には、肥料分がの多い動物性堆肥と、繊維質が多い植物性堆肥がある。
・堆肥は、野菜の性質や土の性質によって使い分ける必要がある。
・堆肥は、土の団粒化を促進する働きがある。

☟家庭菜園で人気の野菜にオススメな堆肥はこちらの記事にまとめたのでご覧ください。

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