作物が健康に育つためには、根から水分や栄養分を吸収していく必要があり、根が埋まっている土の環境は重要な要素になります。野菜づくりには、フカフカな土が良いということを耳にしたことがあると思いますが、そのフカフカな土は団粒構造という状態になっています。団粒構造の土は、通気性や水はけが良いなどのメリットが多くあり、野菜が育ちやすい環境であると言えます。この記事では、そんな団粒構造の特徴や、家庭菜園でもできる団粒構造の調べ方、団粒構造の土の作り方について解説します。
この記事の結論は、団粒構造とは、団子状になった大小の土の塊がバランス良く混ざり合っていて、適度な隙間がたくさんつくられている土のこと。作物が成長するのに欠かせない水はけや通気性、水持ちがいい土のことをいう。団粒構造の土を作るためには、化学肥料や農薬の使用は控え、有機物を有効に活用することが重要です。
畑の土の役割
畑の土は、植物の生育にとって非常に重要な役割を果たします。その役割は以下の通りです。
植物の根を支える
植物は土の中に根を張ることにより、強風などでも倒れないよう、植物を支えています。健康的な土であれば植物の根は張りやすくなります。
水と栄養分の供給をする
土は植物に必要な水と栄養素を蓄えています。植物は根から水分や養分を吸収して生長します。また土は、水分や栄養分を蓄える役割があります。
土壌微生物のすみかになる
土の中には、有機物を分解したり、植物の生長を促進したりする様々な微生物が存在します。土壌環境が良好であれば、これらの微生物が活発に活動し、植物の生育を助けます。
団粒構造とは
団粒構造とは、土の粒子がくっつき、小つぶの集合体になったものを団粒(だんりゅう)と呼びます。 このだんご状になった大小の土の塊がバランスよく混ざり合っている土を団粒構造の土といいます。
団粒構造に対して、土の粒子が集積して詰まっている状態を単粒構造(たんりゅうこうぞう)といい、多くはゆるい砂質の土や粘土質の土で構成されています。土の粒子同士がギュウギュウに詰まっているため、土の中に適度な隙間がなく、充分な酸素や水や養分を土の中に蓄えることができません。そのため、作物の生育に良い環境とはいえません。
団粒構造のメリット
団粒構造とは、土壌粒子が小さな塊状に集まった土の構造のことです。団粒構造には、以下のメリットがあります。
通気性と水はけがよくなる
土壌中に大小の隙間作り出すため、通気性と水はけがよくなります。通気性が良いと、植物の根が十分な酸素を吸収することができ、水はけが良いと、土の余分な水分が排出され、根腐れなどを防ぐことができます。
水持ちがよくなる
団粒内部の小さな隙間が水分を吸い上げるため、土が水分を保持する能力が高くなります。保水性が高いと、乾燥した時期でも植物が水分不足になるのを防ぐことができます。
肥料持ちがよくなる
団粒の内部の小さな隙間が有機物や養分を吸着するため、有機物や養分を保持する能力に優れています。肥料持ちが良いと、肥料の効きが長持ちし、肥料の無駄を減らすことができます。
根の発育が促される
団粒の隙間があることで、植物の根は伸びやすくなります。根の発育が促進されると、植物はより多くの水や栄養素を吸収することができ、ぐんぐん生長します。
微生物が活発になる
団粒内部の小さな隙間は、土壌中の微生物に必要な酸素や水分が含まれており、微生物が住みやすい環境になっています。微生物が活発になると、有機物の分解が促進され、土が豊かになります。
病気や害虫の被害を受けにくくなる
団粒構造の土には、微生物が住みやすくなるため、さまざまな種類の微生物が暮らしやすくなります。これにより、病気のもととなる菌などが異常に増えることが少なくなり、病気や連作障害の被害を減らすことができます。
土壌の安定化
団粒は、土壌粒子を互いに結合し、土壌の表面を覆うため、雨水によって土が流れ出るのを防ぐことができます。
土の団粒構造を作っていくことは、作物が育ちやすい環境にするために欠かせない!
団粒構造がつくられる要素
団粒構造は、土の粒子がさまざまな要素によって接着され、だんご状の構造を形成することで作られます。団粒構造が作られる過程は下記のものがあります。
粘着物質による結合
- 微生物の分泌物:土の中の微生物が有機物を分解すると、ネバネバとした粘液が分泌されます。また、微生物は生きているため、微生物のエサである有機物を食べた後にフンをします。これらの粘液やフンが、土の粒子をつなぐ接着剤の役割を果たします。特に、糸状菌や放線菌などの菌類は、多量の粘着物質を分泌することで、団粒構造形成に大きく貢献します。
- 植物の根 :植物の根は、成長過程で分泌物を出します。これらの分泌物には土の粒子同士とつなぐ接薬剤のような役割を果たし、団粒構造が作られます。
- ミミズなどの動物 :ミミズなどの土壌動物は、有機物をエサとして食べて分解し、フンをします。この糞フンが、土の粒子を接着し、団粒構造の形成に役立ちます。
物理的な圧力
- 植物の根の成長:植物の根は、成長過程で土壌粒子を押し広げ、圧力をかけます。この圧力によって、土が自然に耕された状態となり、土壌粒子は団粒状にまとめられます。
その他の要因
- 有機物の量:微生物のエサとなる有機物量が多いほど、団粒構造形成に必要な粘着物質が多くなります。
- 土壌のpH:土壌のpHが適度な範囲であると、微生物活動が活発になり、粘着物質の分泌が促進されます。
- 土壌の構造:土壌の構造が良好であれば、微生物やミミズが住みやすい環境になるため、より土の団粒化が進んでいきます。
畑の土が団粒構造であるか確認する方法
団粒構造の確認をする方法はいくつかありますが、ここでは一番簡単な方法を紹介します。
【土を握って確かめる方法】
- 適度に湿った土を片手に適量のせる。
- その土を軽く握る。
- 握った土を軽く指で押す。
・団粒構造の土(壌土):握ると塊になり指でほぐすと程よく崩れるのが特徴
・粘土質の土:握った土が硬い塊になり、簡単には崩れない
・砂質の土:まとまりがなく、握っても団子にならないかボロボロと崩れる
団粒構造の作り方
まずは、前項で解説した土を握る方法で、自分の畑の土の質を確認しましょう。団粒構造を作るために必要な土の質ごとのポイントと、共通して行えることを以下にまとめています。
団粒構造の土(壌土)の団粒構造の作り方
団粒構造の土であれば、土はいい状態であるため、引き続き微生物のエサとなる有機物(堆肥や緑肥)を与えましょう。
粘土質の土の団粒構造の作り方
硬い塊となる粘土質の土であれば、ぎゅっとしまった土を柔らかくする必要があります。粘土質は栄養分の多い土であるため、栄養分はさほど高くなく、微生物のエサになる有機物(腐葉土やもみ殻)を入れると団粒構造の土に近づきます。
砂質の土の団粒構造の作り方
握っても塊にならない砂質の土では、水はけがよく、微生物が有機物を分解するスピードが早いという特徴があります。また、栄養分を蓄える力が弱い特徴もあるため、分解に時間がかかる堆肥(バーク堆肥や落ち葉堆肥)を利用しましょう。
粘土質・砂質・壌土すべてに共通する団粒構造の作り方
有機物を積極的に投入する
堆肥や緑肥などの有機物を土に施すことで、土壌中の有機物量を増やし、団粒構造形成を促進することができます。有機物は、微生物のエサとなり、微生物が活発に活動することで、粘着物質が分泌されます。この粘着物質が、土壌粒子を接着し、団粒構造を形成します。
適度に耕す
土を耕すことは、土の通気性や水はけを改善します。しかし過度に耕すと、せっかくできた団子の粒を壊すことになり、団粒構造を破壊してしまう可能性があります。畑を耕すときは適切なタイミングで適切な方法で行いましょう。
マルチング
マルチングとは、土壌の表面をビニールやワラなどで覆うことです。乾燥や風による土の粒子の飛散を防ぎ、団粒構造を維持することができます。
緑肥の栽培
緑肥とは、土を健康にするために育てる作物のことです。緑肥は、土に有機物を供給し、土壌中の微生物活動を活発にする効果があります。緑肥を栽培することで、団粒構造が作られるのを促進することができます。
土壌微生物の活性化
土の中の微生物は、有機物を分解し、粘着物質を分泌することで、団粒構造をつくります。土壌微生物の活性化には、有機物の施用や適切なに土を耕し、土に酸素を供給することが有効です。
適切な水やり
適切な水やりは、土壌中の水分量を調整し、団粒構造を維持するのに役立ちます。過度な乾燥や過湿は、団粒構造を破壊してしまう可能性があります。
その他
土壌のpHを適正な範囲に保つことも、団粒構造形成に重要です。土壌の状態に合わせて、適切な方法で団粒構造を作ることが大切です。
団粒構造が破壊されてしまう状況
団粒構造は壊れやすい構造であるため、良い状態を維持するためには、さまざまな工夫が必要であることを前項まででお伝えしました。ここでは、作られた団粒構造が壊れる原因について解説します。
化学肥料や過剰な農薬の使用によって微生物が死んでしまう
団粒構造が壊れてしまうケースとして挙げられるのは、化学肥料や農薬の大量散布によって、土の微生物などがが死んでしまうことです。団粒構造の土は、主に微生物やミミズなどのフンや分泌物が接着剤の役割を果たして、適度な大きさの土の粒ができることによって作られます。そのため、接着剤を作る役割である、微生物やミミズが化学肥料や農薬の影響で死んでしまうと、団粒構造の土の維持が難しくなります。
土が乾燥・多湿の状態で耕すこと
大雨の後など、水たまりができるほど土が湿っている状態で土を耕すと、土が練られてしまい、団粒構造が壊れて土が固くなってしまいます。
また、土が極端に乾燥している時に耕すことも、団粒構造が細かく分解されてしまうため、団粒構造が壊れて土が固くなる原因になります。
土が凍ったり溶けたりを繰り返すこと
冬から春にかけて気温が下がり、霜や雪の影響で団粒構造の土が凍っては、日中に溶けるということを繰り返すと、団粒構造が壊れて土が固くなってしまいます。
団粒構造の土を踏みつけてしまうこと
フカフカの団粒構造の土には、団粒の間に適度な空気が含まれています。フカフカの土を足やトラクターなどの機械で踏みつけてしまうと、団粒構造が潰れてしまい、土が固くなってしまいます。
まとめ
団粒構造の土は、家庭菜園でおいしい野菜を作るために欠かせません。まずは、自分の畑や庭の土を軽く握って、団粒構造の土であるか確認し、団粒構造であれば、維持するために引き続き有機物の施肥を行いましょう。団粒構造ではない場合は、団粒構造の作り方でもの解説した方法を試してみましょう。